
水俣病特別措置法の救済対象とならなかったのは不当だとして、熊本、鹿児島両県の住民ら139人が国と県、原因企業のチッソを相手取り、慰謝料など1人450万円の支払いを求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が17日、福岡高裁(久留島群一裁判長)であった。
昨年3月の一審熊本地裁判決は、原告のうち25人を水俣病と認定。ただ、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の経過を理由にいずれの請求も棄却し、原告側が控訴していた。
意見陳述で国側は「一審判決は正当で、速やかに棄却されるべきだ」と主張。原告側は「特措法は対象外とされた人に不服申し立てや再申請を認める仕組みがない」などとして、司法による救済を求めた。
一審で除斥期間の経過を理由に請求を退けられた原告の藤下節子さん(68)は「長年症状に苦しみ続けてきた私たちを切り捨てるのは、理不尽で残酷だ。正当な補償を受けられるようにしてください」と訴えた。一審判決で水俣病と認められなかったが、手足や口の感覚障害に苦しむ森正直原告団長(74)は「水俣病によるものだったと認めてもらい、チッソや国、県に謝罪してもらいたい。裁判長には、被害に正面から向き合っていただきたい」と求めた。
〔写真説明〕水俣病救済訴訟の控訴審第1回口頭弁論後に記者会見する原告団長の森正直さん(左)=17日午後、福岡市