AI開発へ「反転攻勢」=社会全体で活用、透明性確保―政府、基本計画骨子提示

 政府は12日、人工知能(AI)の活用推進とリスク対応強化を図るAI戦略本部(本部長・石破茂首相)の初会合を首相官邸で開いた。年内の閣議決定を目指す「AI基本計画」の骨子案を提示。米国や中国と比べ、日本の開発の遅れが指摘される中、「社会全体で利活用し、開発へのサイクルを回す」ことが「反転攻勢」につながると明記した。
 首相は「AIは安全保障上極めて重要だ。世界で開発競争が激化する中、早急に支援策を講ずる必要がある」と表明。「AIによって人が幸せになる社会」を目指す考えを示した。
 骨子案は、イノベーションの促進とリスク対応を両立し「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」とする目標を掲げた。「わが国ではAIの利活用がこれまで十分に進んでおらず、AI関連の投資も経済規模に比べて僅少」と指摘。(1)利活用の加速的推進(2)開発力の戦略的強化(3)ガバナンスの主導(4)AI社会に向けた継続的変革―の四つの基本的な方針を打ち出した。
 AIのリスクについては「多くの国民が不安を抱いていることも事実」とし、対応の必要性を強調した。「技術進歩とともに変動するリスクを適時適切に把握し、透明性・公平性・安全性を確保することで国民の不安払拭を(図る)」とした。基本計画は今後も国内外の状況を踏まえ毎年改定する方針だ。
 戦略本部は5月に成立したAI新法に基づき設置され、全閣僚で構成。会合では、AIの利活用や開発のための指針を整備する方針も示された。AIで作成したわいせつな動画や画像(性的ディープフェイク)について「容易な生成が可能で、さらなる拡大が懸念」されるとした調査結果も報告された。 
〔写真説明〕首相官邸=東京都千代田区

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