検事総長談話は「名誉毀損」=袴田さんが国提訴―静岡地裁

 1966年に静岡県でみそ製造会社の一家4人が殺害された事件で再審無罪が確定した袴田巌さん(89)は11日、「検事総長が控訴断念時に発表した談話は自身を犯人視しており、名誉毀損(きそん)に当たる」とし、国を相手取り慰謝料500万円と、最高検のホームページに1年間の謝罪広告掲載を求める訴訟を静岡地裁に起こした。
 畝本直美検事総長は昨年10月、静岡地裁の再審無罪判決に対する談話で控訴断念を表明した際、判決について「到底承服できず、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容だ」と指摘していた。
 訴状は、談話は「犯人が袴田だ」と述べているのに等しく、名誉毀損に当たることに議論の余地はないと主張。再審請求審での司法判断が異なったために袴田さんの法的地位が不安定な状況に置かれたことを控訴断念の理由に挙げたことについても、「お情けで控訴しないというものとしか理解できない」とした。
 弁護団長の小川秀世弁護士は提訴後に記者会見し、「検事総長が無罪判決を受けた人に犯人だということが許されるのか」と訴えた。
 最高検は「訴状が届いておらず、コメントすることはない」としている。 
〔写真説明〕検事総長談話は名誉毀損(きそん)に当たるとした訴訟を起こすため、静岡地裁に向かう袴田巌さんの弁護団=11日午後、静岡市

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