タクシン元首相に禁錮1年=収監回避は違法―タイ最高裁

 【バンコク時事】タイの最高裁判所は9日、タクシン元首相(76)が実刑判決後に病気を理由に刑務所への収監を回避した問題で、病気は重篤ではなく、収監から逃れたのは違法だったと認定。禁錮1年の有罪を言い渡した。タクシン氏は同日収監された。次女のペートンタン前首相は8月下旬に失職しており、政治的影響力がさらに低下しそうだ。
 判決後、タクシン氏は自身のSNSのメッセージを通じて「私はきょう自由を失ったが、祖国と国民のために考える自由はある」と強調。今後どのような立場に置かれるにせよ「王室、国家、国民に奉仕するため、体力と精神力を保つ」と訴えた。
 タクシン氏は4日にタイを空路で出国。海外逃亡という見方が広がる中、8日に帰国した。9日はペートンタン氏らと共に出廷した。
 タクシン氏は2006年のクーデターで失脚し、海外逃亡生活を経て23年8月に帰国。公権力乱用罪などで禁錮8年の実刑判決を受けたが、刑務所に収監された日の夜に体調不良を訴え、病院に移った。刑期は恩赦で1年に短縮され、24年2月に仮釈放された。
 入院については仮病の疑いが指摘され最高裁は審理の開始を決定。判決では医師への尋問などに基づき「タクシン氏は入院を必要とせず、外来で治療可能な慢性疾患を患っていたにすぎない」と指摘。一方で「タクシン氏も自分が重篤な病気ではないと認識していた」と結論付けた。 
〔写真説明〕9日、バンコクの最高裁判所に到着したタイのタクシン元首相(右)とペートンタン前首相(AFP時事)

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