中朝首脳、対米で連携強化=習氏「命運共にする同志」―朝鮮半島安定へ尽力、経済協力も

 【北京時事】中国の習近平国家主席と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は4日、北京の人民大会堂で会談し、両国の関係強化で一致した。中国外務省によると、習氏は「中朝は命運を共にする同志だ」と強調。対立する米国を念頭に、両国が「共通の利益」を守るための戦略的連携を強化させるべきだと訴えた。
 朝鮮戦争を共に戦った中朝の関係は「血で固めた友情」と表現される。ただ、近年は北朝鮮の急速なロシアへの接近などが影響し、中朝関係は冷え込みが指摘されてきた。約6年ぶりの中朝首脳会談が実現したのは、米国との対抗上、関係を修復させることが双方にとって有利になるとの計算があったためだ。
 習氏は会談で、北朝鮮との関係発展は「中国共産党と政府の変わらない立場だ」と語った上で「朝鮮半島の平和と安定を維持するために尽力する」と述べた。「各分野での実務協力を展開する」として、食料事情の悪化などが伝えられる北朝鮮への支援強化を示唆した。
 正恩氏は「国際情勢がどう変化しようと、中国との間の友好感情は不変だ」と応じ、対中関係の発展は北朝鮮の「確固たる意思」だと力を込めた。北朝鮮は対外貿易の9割以上を中国に頼っており、正恩氏は、経済面での協力深化に意欲を示した。また、台湾統一を目指す中国の立場への「断固とした支持」を表明した。
 中国側の発表によると、習氏は過去の正恩氏との会談で言及してきた「朝鮮半島の非核化実現」に触れなかった。「核保有国」としての地位を求める正恩氏に配慮し、関係改善を優先させたとみられる。
 ウクライナ侵攻を続けるロシアと北朝鮮の軍事協力や、正恩氏との対話再開に意欲を示すトランプ米大統領への対応などについても話し合った可能性がある。会談のほか、小規模な茶会や宴会も開かれた。
 正恩氏は中国側の招待に応じ、3日の「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年」記念行事に合わせて訪中した。同日の軍事パレードでは、天安門楼上で習氏の隣に座る「主賓」待遇を受け観覧した。
 北朝鮮の朝鮮中央通信によると、正恩氏は4日午後、訪中の日程を終えて専用列車で北京を離れ、5日午後に平壌に到着した。同通信は、今回の訪中について中朝間の政治的信頼と戦略的協力を一層強化し、「友好関係の不変性を示す歴史的契機となった」と強調した。 
〔写真説明〕4日、北京の人民大会堂で握手する中国の習近平国家主席(右)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(ロイター時事)
〔写真説明〕3日、中国・北京で握手する習近平国家主席(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(ロイター時事)
〔写真説明〕4日、中国・北京の人民大会堂で会談する習近平国家主席(左手前から7人目)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(右手前から4人目)(EPA時事)

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