
国土交通省は2026年度、一般ドライバーがマイカーを使って有償で客を運送する「ライドシェア」について、複数の自治体や交通事業者がドライバーや車、配車システムなどを共有して事業を始める際の支援を強化する。バスやタクシーが足りない「交通空白地」の解消につなげる狙い。同年度予算概算要求に関係経費を盛り込む方針だ。
ライドシェアの導入など交通空白対策は、自治体や事業者が単独で始めるには人手や経費が足りないことがある。このため複数での取り組みを促すことにした。同省によると、現在ドライバーなどを共有してライドシェアを本格導入しているのは、茨城県内のつくば市など4市によるものだけとみられる。
具体的な取り組みとしては、複数自治体が「ドライバーバンク」を設けて人材を共有し、A市在住のドライバーがB市の利用者からの予約も引き受ける仕組みなどを想定。自治体と事業者がシステムを共有して、予約が入った場合にはまずタクシーを優先配車し、タクシーが足りないときはライドシェアで対応する手法も導入を促したい考えだ。このほかライドシェア以外でも、1人の運転手が複数のバス会社の車を運転できる仕組みづくりなども、有効な空白対策とみている。
国交省は22年度から、地域の関係者が協力して空白解消に取り組む場合にモデル事業として、システムの導入経費などを補助してきた。補助率は、過疎地で500万円以下であれば定額で、それ以外は3分の1または3分の2。26年度から複数主体が人材やシステムを共有する取り組みを、同事業で優先的に採択したり、補助率をかさ上げしたりする方向で検討する。
〔写真説明〕ライドシェア共同導入の記者発表を行う茨城県つくば市の五十嵐立青市長(左端)ら4市長=2024年9月、同市役所(同市提供)
〔写真説明〕ライドシェアの車から降りる茨城県つくば市の五十嵐立青市長=1月、つくばエクスプレスつくば駅(同市提供)