
環境省は、全国でクマの出没や人身被害が相次いでいることを踏まえ、対応する自治体職員の確保や育成の支援を強化する方針を固めた。クマを含む「指定管理鳥獣」の対策費用として、2026年度予算概算要求に約37億円を計上する。
市街地に出没したクマの対応を巡っては、9月1日に施行される改正鳥獣保護管理法により、市町村の判断で発砲が可能になる。住宅地などの生活圏に侵入したクマからの危害を防ぐため、迅速な対応を目指す。
実際に発砲する際、現場で交通規制や周辺住民の避難誘導といった対応に当たる職員の不足も見込まれる。このため、自治体向け交付金の用途を拡大し、非正規の「会計年度任用職員」などを新規採用する場合の人件費に充てられるようにする。また、市街地での出没に備え、訓練や研修を実施する自治体の支援を強化する。
改正法では、イノシシも新たに発砲の対象となることから、駆除に当たるハンターへの日当や捕獲にかかる費用も補助する方向だ。
同法は、23年度にクマの被害を受けた人が219人と過去最多を更新したことを受けて改正された。25年4月から7月末までに被害を受けた人は55人。
〔写真説明〕ツキノワグマ=4月27日、長野県飯田市