
四方を海に囲まれた大阪・関西万博の会場「夢洲」。先週発生した大阪メトロ中央線の運転見合わせによる来場者の足止めは、交通アクセスのもろさを浮き彫りにした。日本国際博覧会協会は18日、情報発信などが不十分だったことを認め、対応を見直す方針を表明した。今後も来場者数の増加が見込まれる中、混雑する中でいかに迅速に情報を伝えるかが大きな課題となる。
万博の入場券販売は伸び続けている。15日までに約1866万枚を売り上げ、協会は最終的な目標の2300万枚達成を目指す。会期終盤に向け会場内の混雑はさらに激しくなる見通しだ。「今回の事象を教訓として、改善すべき点は速やかに改善する」。協会の石毛博行事務総長は18日の記者会見でこう述べ、非常時の情報発信の在り方や飲食物配布などの対応を見直す考えを示した。
大阪メトロ中央線が運転を見合わせたのは13日夜。中央線は来場者輸送の約7割を担うアクセスの要で、来場者約3万人が一時足止めされ、会場内で一夜を過ごす人もいた。協会は防災実施計画で地震や水害などが発生した際の対応を定めているが、鉄道トラブルに関しては盛り込まれていなかった。
最も大きな課題が情報発信の在り方だ。来場者からは「アナウンスが全然ない」「放送内容が更新されない」との声が相次いだ。石毛氏は場内放送について「混乱を避けることが大きな目的になっていた」と釈明。情報がなくても、ないという現状を発信する必要があったとの認識を示した。
飲食物の配布にも課題が残る。自動販売機の飲料が軒並み売り切れとなり、給水スポットに長蛇の列ができた。協会が水1000本を配布したのは14日午前3時半以降。協会からの食料提供はなかった。
政府関係者は「今回は防災実施計画で想定される対応だったが、『運転見合わせ』の部分は抜け落ちていた」と語る。
〔写真説明〕大阪メトロ中央線が運転見合わせとなった影響で、大阪・関西万博会場の大屋根リングの下で休む来場者たち=14日未明、大阪市此花区