石破首相、外交に活路探る=退陣要求に対抗―首脳会合続々

 7月20日投開票の参院選での大敗後、石破茂首相が外交に力を入れている。日米関税合意の着実な履行に向けて米政府の動きを注視。週内には第9回アフリカ開発会議(TICAD9)と日韓首脳会談という重要日程を控える。自民党内で首相退陣を求める動きが続く中、外交分野で手腕を発揮し、政権維持につなげたいとの思惑が透ける。
 首相は13、17両日夜、ウクライナを支える有志連合のオンライン首脳会合に出席。17日の会合ではトランプ米大統領の動きを歓迎しつつ「領土問題はウクライナを含める形で議論しなければならない」と語り、ロシアに対するトランプ氏の譲歩を懸念する欧州各国と足並みをそろえた。
 参院選で与党が過半数割れに追い込まれて以降、首相が退陣要求に応じない理由の筆頭に挙げるのが外交だ。投開票翌日の7月21日の記者会見では「国際情勢は政治の状況が整うのを待ってくれない」と指摘。日米関税交渉に触れ、「政治には一刻の停滞も許されない」と強調した。
 自民内でも当初、関税交渉妥結までは続投はやむを得ないとの空気が強かった。しかし、投開票3日後の同23日に交渉が決着すると、首相は「合意より実行に移す方が難しい」として続投の必要性を強調。実際、米政府は合意をたがえる形で相互関税を今月7日に発動しており、政府内では最終的には首相が訪米し、トランプ氏に合意履行を直接求める案が取り沙汰される。
 首相は20~22日に横浜市で開かれるTICAD9で議長を務め、アフリカ各国首脳数十人との「マラソン会談」に臨む。23日には6月に就任した韓国の李在明大統領を日本に初めて迎える。首脳間の「シャトル外交」再開など日韓関係の安定的な発展を確認したい考えだ。
 29日には来日するインドのモディ首相と会談する方向で調整している。9月23日から米ニューヨークで始まる国連総会一般討論演説への参加も視野に入れている。
 自民党内で総裁選前倒しの是非を問う手続きが始まろうとする中、報道各社の世論調査では内閣支持率が上昇に転じ、首相退陣への反対が賛成を上回る結果が続いている。首相周辺は公務に取り組む姿勢が世論を引きつけたと手応えを口にし、「今は仕事をするのみだ」と語った。 
〔写真説明〕首相官邸に入る石破茂首相=18日午前、東京・永田町

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