県警本部長、西山さんに謝罪=「言葉で表せぬ心労」―違法捜査の賠償確定受け・滋賀

 滋賀県東近江市(旧湖東町)の湖東記念病院で2003年に起きた男性患者の死亡を巡り、県警の池内久晃本部長は7日、殺人罪で服役後に再審無罪となった元看護助手西山美香さん(45)と面会し、直接謝罪した。県警の違法捜査を認め、賠償を命じた大津地裁判決が確定したことを受けた対応で、県警側が西山さんに直接謝罪するのは04年の逮捕後初めて。
 面会は同県彦根市の県合同庁舎内で実施。いすに座った西山さんと両親らの対面に立った池内本部長は「逮捕から今日に至る21年余りの長きにわたり、言葉では言い表せないほどのご心労、ご負担をおかけし、大変申し訳ございませんでした」と述べ、約10秒間深々と頭を下げた。
 終了後に同市内で記者会見した西山さんは「謝罪してもらったことで、一区切り付いた感じがする」と語った。一方、「本当にこれで冤罪(えんざい)がなくなるのかなと思う。きょうの言葉を本部長は心に(刻み)、ちゃんと下の人を指導してほしい」と求めた。
 池内本部長も取材に応じ、直接の謝罪が再審無罪の確定から5年以上たったことについて、「その後の訴訟も予想されたので、そうした状況も鑑みた」と釈明した。
 西山さんは捜査段階での自白を基に逮捕され、公判では一貫して否認したものの、最高裁で懲役12年が確定。出所後に「自白の信用性に疑いがある」などとして再審開始が認められ、20年に無罪が確定した。
 西山さんが国と県に賠償を求めた訴訟で大津地裁は7月、警察官の取り調べの違法性を認め、県に約3100万円の賠償を命令。西山さんと県の双方が控訴せず確定した。
 一方、検察官の起訴には「相応の合理性がある」として国への請求は退けており、西山さん側が控訴している。 
〔写真説明〕再審無罪となった元看護助手西山美香さん(左手前)らに謝罪する滋賀県警の池内久晃本部長(右)=7日午前、同県彦根市
〔写真説明〕滋賀県警本部長の謝罪後に記者会見する元看護助手西山美香さん=7日午後、同県彦根市

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