
6月に施行された悪質ホストクラブ対策を強化した改正風営法で、恋愛感情に付け込んで高額代金を払わせる「色恋営業」が禁止され、客やホストの競争心をあおる広告規制も始まった。対象は看板など屋内外に掲示される広告物だが、対象外のインターネット広告やSNSにも自主的な記載の修正が広がる。警察幹部は「悪質な営業による被害者を出さないよう動静を見守りたい」と話す。
警察庁は6月に出した通達で、禁止される表現として「○億円プレイヤー」「指名数No.1」など営業成績を示す文言や、「神」「覇者」といった成績上位と推認させる役職の表示などを例示。ランキング制自体は禁止しないが、順位がホストや女性客の競争心をあおり、過剰な営業につながるような文言の使用は違反になるとした。
神戸市のホストクラブ「フェリシア」では規制を受け、ホストの写真に添える言葉を「凄い人」「その次に凄い人」など柔らかい表現に変えた。一方、大阪・ミナミでは「1億プレイヤー」「5億超え」などと大きく書かれた看板が変わらず夜の街を照らす。府警が順次指導しており、修正には協力的という。
今回の広告規制はネットやSNSは対象外だが、ホストクラブの情報を掲載する大手サイトでは、ランキングや役職の掲載をやめた。サイトの運営者は「規制対象がどこまでか分かりづらい中、警察の情報や弁護士に相談して、手探りで改善を進めている」と話す。
ミナミのホストクラブ「ユグドラシル大阪」では先月27日からランキング制や役職を廃止。看板のほか店舗や個人のSNSでも表記をやめた。同店の担当者は「グレーゾーンはやらないということを徹底している」と話し、「役職やナンバーではなく、自分がどういうホストでどういう考え方で仕事をしているかを発信することが大事」と説明する。
警察庁の担当者は「まだ運用が始まったばかりなので、客の受け止めや使われ方を見ながら必要な指導をしていきたい」と話している。
〔写真説明〕改正風営法施行後のホストクラブの看板=7月23日、神戸市中央区