今の仮面ライダーに似すぎのバイク!? テレカの時代に“カードキーで動く” ヤマハのスゴいコンセプトモデルとは

ヤマハが1991年に発表したコンセプトモデル「MORPHO II」は、34年前に想像された未来のバイクです。仮面ライダー風の外観と専用カードで動く仕組みを持つこのバイクは、今の時代を予見したような革新的なアイデアが詰まっています。

35年前に想像された「未来のバイク」はカードキーで動く!?

ヤマハが1991年に発表したコンセプトモデル「MORPHO II」は、34年前に想像された未来のバイクです。仮面ライダー風の外観で、今日のAI時代を予見したような革新的なアイデアが詰まっていました。

 34年前の1990年代初頭は、まだポケットベル(ポケベル)さえ一般的ではなく、パソコンも業務用を除けば一部の専門家やマニアに限定されたものでした。また、インターネットも普及しておらず、1990年のクリスマスに世界初のWEBサーバが誕生したほどです。

 しかし、こうした「前時代」ともいえる時代においても、バイクや自動車のメーカー各社は、未来を見据えた開発・研究を進めており、特に「電動化」には強い意識を持って取り組んでいました。そうしたなかでヤマハが発表した「未来のバイク」とも呼べるコンセプトモデルが、1989年に登場したMORPHOでした。

 このバイクは、「人とマシンの一体感をテーマに」「機械から人に近づいていく」というコンセプトのもと、「ハンドル、シート、ステップの可変によってライダーの体格差や走行シーン別の対応を可能にした」とされています。

その改良型モデルとなるMORPHO IIの外観は、どことなく仮面ライダー的であり、良い意味でも悪い意味でもバイクらしさを排したモデルでした。しかも、偶然とは思いますが、パープル基調の色使いは現行の「仮面ライダーガヴ」を彷彿とさせます。

 フロントタイヤは片持ちで、ホイールはなんとなくブーメランなどを連想させるデザイン。リアはモノショック式となっており、機能的な部分は全て「ソフトマテリアル」と呼ばれるプラスチック系部品で覆われていました。これは、万一の事故でぶつかった相手の衝撃を軽減する役目を果たしています。

 両モデルについては発表当時「どれほどの未来を見越して考案されたか」の公式発表はありませんでしたが、そのデザインから未来感を強く感じさせるものでした。また、特筆すべきは、MORPHO IIはカードキーによって始動する仕組みであるということ。

 当時はまだテレフォンカードを使っていた時代です。「カード=便利」といった発想からの採用だったと推測できますが、逆に言うと、今日のデバイス連動のシステムやスマートキーが当時はまだ想像の域を出ていなかったことがよく分かります。

マシンとライダーが意思疎通できる!?

 なかなか斬新なのが、このカードキーを差し込み、各ボタンを押すことで始動だけでなくライディングポジションを変更させることができるという点です。さらに、「マシンとライダーが意思疎通を深化させることができるインターフェース」も備えています。

 ライダー「もしもしMORPHO II。今日の俺、ちょっと疲れているからどれくらい運転できるかわからないんだよね」
 バイク「ソウデスカ。ナラ20キロクライ走ッテ、今日ノ移動ハ終ワリニシマショウ」

 ……「マシンとライダーが意思疎通を深化させるインターフェース」とは、こういうことなんだろうと推測できますが、今日のAI時代を考えれば、あながち的外れな未来予測ではなかったようにも感じます。

「生きもののようにも感じるマン・マシンの親和性」

 また、見た目は仮面ライダー的でもある「未来のバイク」ですが、実は「人とバイクのあり方」について深く考えられたモデルでもあったようです。MORPHO IIの実車を展示するヤマハ発動機コミュニケーションプラザのギャラリーでは、以下のような紹介分が添えてられています。

「マシン自らが自身の状態をセンシングしたり、人工知能(AI)を介してライダーとのコミュニケーションを深め合うなど、まるで生きもののようにも感じるマン・マシンの親和性は、30年以上が経過した今も続く研究領域の一つです。また、ライダーのみならず、対人の安全にも配慮したソフトマテリアルパーツの提案は“自利利他”の思想にも通じる当時としては極めて新鮮なメッセージとして受け止められました」(展示より)

 現在のバイクは、35年前にヤマハが想像したMORPHO IIのようなものにはまだ到達していません。しかしながら、開発コンセプトのいくつかは、決して「未来予測が大ハズレだった」と言い切れず、なかなか興味深く映ります。

 その後もヤマハは、知能を持つ生物のようなマシンとして、2017年には東京モーターショーのコンセプトモデルの「MOTOROiD」を発表するなど、同様の領域の研究を通じ、しばしば人々を驚かせています。

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