英ダガー賞に王谷晶さん=「ババヤガの夜」、日本人初

 【ロンドン時事】英国推理作家協会は3日、優れた推理小説に贈られるダガー賞の翻訳部門に、王谷晶さん(44)の「ババヤガの夜」を選んだと発表した。権威ある同賞で日本人の作品が受賞したのは初めて。
 審査員は「この物語は独創性に輝き、奇妙ながらも素晴らしいラブストーリーを届けている」と講評した。最終選考には柚木麻子さん(43)の「BUTTER」も残っていた。審査では「ババヤガの夜」が「BUTTER」をわずかに抑えたという。
 王谷さんは記者団に対し、「こんなことになるとは思っておらず、現実感がない」と驚きを隠せない様子。「もう一度この舞台に来られるようになればうれしい」と今後の作家活動への意欲を語った。
 「ババヤガの夜」は、暴力を唯一の趣味とする主人公の女性が、図らずも暴力団会長の一人娘を護衛することになるバイオレンスアクション。英語翻訳版は昨年9月に刊行され、米英のメディアで高い評価を受けていた。
 王谷さんは1981年、東京都生まれ。2012年にデビューし、主な作品に「完璧じゃない、あたしたち」「他人屋のゆうれい」などがある。
 ダガー賞は、1955年に創設された犯罪・ミステリー分野の文学賞。翻訳部門は2006年に始まり、過去に横山秀夫さんや東野圭吾さん、伊坂幸太郎さんの作品が最終選考に残ったことがある。 
〔写真説明〕英ダガー賞を受賞した王谷晶さんの「ババヤガの夜」(河出書房新社)の英訳本(同社提供)
〔写真説明〕英ダガー賞を受賞した王谷晶さん(河出書房新社提供)

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