
【ワシントン時事】米下院は3日、トランプ大統領の看板政策である大型減税を盛り込んだ法案を、賛成218票、反対214票の僅差で可決した。与党共和党から2議員が反対した。法案は上院を通過済みで、大統領の署名で成立する。政権最大の政策課題が実現する見通しだ。減税は企業や富裕層を利する一方、低所得層には厳しい内容となる。高水準の財政赤字が一段と拡大するのは必至だ。
トランプ氏は減税法案を「大きな美しい法案」と名付け、成立すれば「米国はかつてないほど『経済的なルネサンス(復興)』を遂げる」と強調している。署名式は米独立記念日である4日に行われる。
法案は、第1次トランプ政権下で発効した大型減税の恒久化が柱だ。与党共和党内で財政規律派が一段の支出カットを求める一方、穏健派は低所得者向け医療制度「メディケイド」の削減を懸念。2日に始まった審議は難航し、夜を徹して続いた。トランプ氏自らも議員らと会合や電話を重ねて説得に努め、「造反」を最小限に抑えた。
法案は、飲食店従業員らが受け取るチップや、残業手当の税額控除といった、トランプ氏が昨年秋の大統領選で公約に掲げた減税策をほぼ網羅。一方、減税の財源を賄うため、メディケイドを削減したほか、電気自動車(EV)促進策などを撤回した。EV大手テスラを経営する実業家イーロン・マスク氏がこれに反発し、政権を去った一因とされる。
また、連邦政府の借入限度である「債務上限」も引き上げられる。財政資金が枯渇する恐れは、当面遠のいた。
〔写真説明〕米連邦議会議事堂=3日、ワシントン(EPA時事)