
参院選が3日公示され、17日間の選挙戦がスタートした。厳しい暑さの中、各地で声をからす候補者ら。「米価を抑えてほしい」「夫婦別姓制度の是非に決着を」。有権者からはさまざまな声が出た。
多くの人が行き交う東京・JR新宿駅周辺。4歳と6歳の子を育てる東京都府中市の会社員女性(39)は「子育て世代が働きやすい社会の実現を」と述べ、支援拡充を願った。江戸川区の無職女性(73)は「食料品、特に米価を抑えてほしい。価格を見て買い控えることもある。早く元の値段に戻して」と嘆いた。
多くの候補者が活用するSNSについて、府中市の大学4年の男性(21)は「正直言って、うさんくさいかな」と眉をひそめる。日本を取り巻く国際情勢に関心があるといい「外交をしっかりしてくれる政権に期待したい」と話した。
大阪市の南海難波駅前では、会社員井上和紀さん(33)が、トランプ米政権による関税措置への対応に気をもんでいた。井上さんは「米国相手でも、一定以上の主権を維持できるように努力してもらいたい」と早期解決を願った。
堺市の主婦(37)は「食品の値上がりが深刻で、今のままだと生活がきつい」と率直な感想を漏らした。同市の元小学校教師の女性(65)は、親の結婚と離婚で名字が3回変わった児童がいたとし、「他の子への説明が大変だった。夫婦別姓制度の議論は私が高校生の頃からあった。そろそろ決着をつけて」と真剣な面持ちで語った。
福岡市のJR博多駅周辺で候補者の演説に耳を傾けた同市の会社員安永悦司さん(62)は「社会人の立場からすると、経済の安定が大事」と話した。SNSを使った選挙運動には「惑わされず、訴えを総合的に見て判断しなければならない」と気を引き締めた。
家族で付近に買い物に来ていた同市のサービス業山崎雄太朗さん(36)は「子どもにお金をかけるために切り詰めているが、限界がある」と述べ、子育て支援策の強化を求めた。近くの映画館を訪れていた70代の女性は「給付金はいらないが、消費税は食料品だけでも下げてほしい」と訴えた。
〔写真説明〕参院選が公示され、街頭演説に集まった人たち=3日、東京都港区