
2020年から欧州女子ツアー(LET)を率いてきたアレクサンドラ・アルマス氏が、10月1日をもってCEOから退任するとLETが発表した。アルマス氏の5年間の在任中、LETは試合数、賞金総額ともに大きな成長を遂げた。
米国のウェイクフォレスト大卒で、LETのツアープロでもあったアルマス氏は「LETのCEOを務め、女子ゴルフの発展に貢献できたのはとても光栄なこと。スケジュールや賞金総額の拡大、国際的な協力を通じて、持続可能で強い未来を築けたことを信じられないほど誇りに思います。選手、パートナー、理事、そしてLETの素晴らしいチームのサポートに感謝します」とコメントした。
アルマス氏は2005年から2012年、そして2020年から現在まで、2度に渡りLETを率いた。2019年当時は19試合で賞金総額1350万ドル(約19億3793万円)だったが、2025年には30大会で、賞金総額は4590万ドル(約65億8908万円)と急成長した。
ただ、アルマス氏の下で実現しなかった構想もある。それが米国女子ツアー(LPGA)との全面的な合併だ。2023年末に行われる予定だった合併を問う投票は延期され、現在は協議が無期限に中断されている。
その理由として、サウジアラビアの政府系ファンド『PIF』の存在がある。LIVゴルフを全面支援するPIFは、今年5月にLETへ1300万ドル(約18億6650万円)の投資を発表し、LET最大のスポンサーとなった。しかし、LPGAはPIFの関与を問題視。最終的に合併には至らなかった、と海外メディアで報じられている。それでも、共催大会を行うなど、LETとLPGAは現在も協力関係を維持している。
LPGAとLETのジョイントベンチャー委員会のリズ・ムーア氏は、アルマスを「LETと世界の女子ゴルフ界を変革する力」と称え、LETのマルタ・ドッティ委員長は、「並外れた献身と長年にわたるツアーへの貢献だ」と賞賛した。
次期CEOの選出は、米LPGAツアーの新コミッショナーとなるクレイグ・ケスラー氏の採用にも関わったエレベート・タレント社が行う。(文・武川玲子=米国在住)