イラン攻撃巡り「違憲」論争=トランプ氏、議会承認得ず決行―米

 【ワシントン時事】トランプ米大統領の命令で決行されたイラン核施設への攻撃を巡り、議会の承認を得なかったことが論争を呼んでいる。野党民主党は大統領が議会の戦争権限を無視し、一方的に軍事行動に踏み切ったとして違憲性を訴える。これに対し与党共和党は、軍の最高司令官たる大統領の権限の範囲内だとして問題視しない構えだ。
 米憲法は、宣戦布告の権限が議会にあるとうたう。このため今回の作戦には、民主党だけでなく一部共和党からも「憲法違反だ」との声が上がった。
 一方、共和党のジョンソン下院議長は「状況の緊急性」を強調し、トランプ氏の判断を支持。オバマ政権によるリビア空爆など、民主党の大統領も議会の承認なしに軍事行動を行ってきた経緯があり、慣例に沿った措置だと主張した。
 議会は1973年、戦争に関する大統領権限を抑制し、議会と共同で判断するよう求める「戦争権限法」を制定した。同法は軍事力の行使に際し、議会への事前説明努力や、軍事行動から48時間以内の報告を大統領に求めている。ただ、議会の承認は義務ではない。
 今回の作戦に関し、ヘグセス国防長官は22日の記者会見で、議会への通知は「米軍機がイラン領空を安全に離れた後」に行われたとし、「戦争権限法の通知要件を順守した」と述べた。
 一方、ジョンソン氏は24日、「『戦争権限法そのものが違憲だ』という専門家の議論には説得力がある」と踏み込んだ。大統領が暴走すればブレーキ役となるはずの立法府の権威を、下院議長自らが放棄するかのような発言は、「トランプ党」と化した共和党の現状を映し出している。 
〔写真説明〕イラン核施設への攻撃発表後、ホワイトハウスで演説するトランプ米大統領=21日、ワシントン(AFP時事)

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