
【ワシントン時事】米軍のイラン空爆を巡り、核施設がどの程度損害を受けたかが焦点となっている。トランプ米大統領は「核施設は完全に破壊された」と断言したが、米軍制服組トップのケイン統合参謀本部議長は「損害分析はまだ進行中だ」と説明しており、米国内でも見方が割れている。
バンス副大統領は22日、NBCテレビで「イランの核開発計画を大幅に後退させた」と主張。「イランが核兵器を開発できるようになるまで、何年もかかるだろう」と述べた。
米国防総省は22日の記者会見で「初期的な分析では、全ての精密誘導弾が目標に命中し、意図した効果を発揮した」と指摘。しかし、イランの核開発能力に与えた打撃についての証拠などは示さなかった。
ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)はイスラエル軍などの情報を基に、イラン中部フォルドゥの核施設は深刻な被害を受けたものの、完全には破壊されていないと指摘。イランはウランなどを事前に別の場所に移したとみられると報じた。
米シンクタンク「軍備管理協会」のキンボル事務局長は空爆後の声明で「軍事攻撃だけではイランの広範な核関連知識を破壊できない」と強調。「空爆は一時的に核計画を遅らせるかもしれないが、長期的にはイランに核兵器が必要だと判断させることにつながる可能性が高い」と懸念を表明した。
英BBC放送は22日、衛星画像でフォルドゥの核施設の被害状況を分析。米軍の地下貫通型爆弾「バンカーバスター」が投下されたとみられるクレーターが6カ所確認されたが、「核施設の損害の程度は不明だ」としている。
〔写真説明〕飛行中のB2戦略爆撃機=米国防総省提供、撮影場所不詳(AFP時事)