イラン攻撃、「2週間内」に決断=交渉に猶予、時間稼ぎの見方も―軍事と外交両面で圧力・米大統領

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は19日、イスラエルと交戦するイランへの攻撃について、「2週間以内」に判断する方針を示した。核施設攻撃を辞さない構えを見せつつ、外交的解決の余地を残した形。攻撃後に予想されるイランの反撃に備える「時間稼ぎ」との見方もあり、緊迫する中東情勢は予断を許さない状況が続く。
 レビット大統領報道官が19日、トランプ氏の発言として発表した。トランプ氏は「近い将来にイランとの交渉が実現する相当なチャンスがある」とも指摘。レビット氏は「大統領は常に外交を模索しているが、必要なら武力行使も辞さない」と付け加えた。
 トランプ氏は前日まで「無条件降伏!」「最後通告とも言える」などと警告し、攻撃に踏み切る構えを見せていた。決断までの時間的猶予を設けたのは、最大限に高めつつある軍事的圧力を背景に、イランにこれまで拒んできたウラン濃縮活動の放棄を受け入れさせ、「ディール(取引)」を実現する狙いがあるとみられる。
 ルビオ米国務長官は19日、ラミー英外相と会い、イランの核兵器開発阻止で一致した。AFP通信によると、ラミー氏は声明で「2週間以内の外交的解決への道は開かれている」と強調。20日の仏独イラン外相との協議を前に、米側の意向を確認した形だ。
 トランプ氏は今週、ウィトコフ中東担当特使とバンス副大統領を派遣する形でイランとの協議を探ったとされるが実現していない。CNNテレビによれば、イスラエルの攻撃が続く間、イランは米国との協議に応じない考えとされ、駆け引きが続く。
 一方、米軍は空母2隻の中東派遣を決定。既にアラビア海付近に展開中の「カール・ビンソン」と合わせ3隻態勢とし、核施設攻撃時のイランの反撃に備える。このうち「ジェラルド・フォード」のイスラエル近海への到着は来週になる見通しだ。
 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は2週間の猶予が、イラン中部フォルドゥのウラン濃縮施設周辺の防空システムを攻撃する時間をイスラエルに与えると指摘。「トランプ氏が攻撃を決断した場合に米軍が受けるリスクが軽減される」と分析しており、米側は軍事・外交両面で圧力を強めている。 
〔写真説明〕19日、イランのミサイル攻撃を受けたイスラエル中部ホロンの現場で活動する救助隊員(AFP時事)
〔写真説明〕19日、米ホワイトハウスで記者会見するレビット大統領報道官(AFP時事)

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