旅客機墜落、原因究明本格化=エンジン異常か、事故1週間―インド

 【ニューデリー時事】インド西部アーメダバードで旅客機が市街地に墜落した事故から19日で1週間がたった。犠牲者は270人以上に達する見通しで、過去10年で最悪の航空機事故となった。当局は事故原因の究明を本格化。エンジンや油圧システムなどに異常があったという見方が出ている。
 ◇「推力なし」
 墜落は離陸からわずか約30秒後。12日午後、滑走路を飛び立った米ボーイング787型機は高度200メートル近くまでいったん上昇した後、機首をやや上げた状態でゆっくり沈み込むように地上に激突し、爆発した。
 事故機は地元航空大手エア・インディアが運航し、英ロンドンに向かう便だった。9~10日には羽田空港との間も往復していた。「推力が得られない。墜落中。メーデー(遭難信号)」。それが操縦室から管制官への最後の通信だったという。
 乗客乗員は242人。うち非常口付近の座席だった英国人男性1人だけが奇跡的に助かった。地上の医科大敷地内にいた30人前後も巻き添えになったとみられるが、遺体の損傷が激しく、最終的な死者数はDNA型鑑定の結果を待って公表される見込みだ。
 現場を視察したモディ首相は「壊滅的」で「悲痛」だとX(旧ツイッター)に投稿した。搭乗者らが搬送された病院前では親族が40度を超える暑さの中、打ちひしがれた様子で座り込み、鑑定結果を祈るように待っていた。地元メディアによると、18日時点で170以上の遺体の身元が判明し、遺族に引き渡された。
 ◇非常動力装置作動か
 政府は事故原因を多角的に調べるため、高官らでつくる委員会を設置。16日に初会合を開いた。墜落現場から回収された操縦室内の音声を録音したボイスレコーダーや飛行記録を収めたフライトレコーダーの解析を中心に調査を進め、3カ月以内に報告書をまとめる。
 米運輸安全委員会(NTSB)や英国の航空事故調査局も現地入りした。エンジンや揚力を調整する主翼の「フラップ」に異常がなかったかが調査の主な焦点となっているようだ。
 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは関係筋の話として、墜落前に「ラムエア・タービン」と呼ばれる非常用の動力装置が作動していた可能性が高いと報じた。エンジン2基がいずれも故障したり、三つある油圧システムの圧力が低下したりした場合、自動的に作動するという。
 これまで世界で1100機以上が納入されたボーイング787型機の墜落事故は今回が初めて。機体に何らかの欠陥があることが判明すれば、航空業界全体に影響が及びかねない。 
〔写真説明〕墜落した旅客機の残骸を調べる当局者=14日、インド西部アーメダバード(EPA時事)
〔写真説明〕旅客機墜落事故で親族を亡くし、病院の霊安室の外で悲しむ女性たち=13日、インド西部アーメダバード(AFP時事)

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