13日に閣議決定された地方創生の基本構想では、今後10年で取り組む施策の一つに「ふるさと住民登録制度」の創設が盛り込まれた。住所地以外の地域に継続的に関わる「関係人口」を専用アプリで自治体に登録することを想定。人口減少が進む中、都市部に住む人に地方の担い手にもなってもらうのが狙いだが、実効性のある仕組みづくりが問われる。
地方創生は、第2次安倍政権の目玉施策として2014年に始動。人口減少に歯止めをかけるとともに、東京一極集中の是正に向けた地方移住の推進が柱だった。ただ、移住はハードルが高いことから「観光客以上、移住者未満」として、関係人口の創出に取り組む自治体も出てきた。
その一つ、人口2万1500人の岐阜県飛騨市は、地域の活性化を目指し、17年に「飛騨市ファンクラブ」を設立。入会者には市内対象店舗での割引サービスや、1000円割引きの宿泊特典などが提供される。
市は会員らに活動に関する情報を発信。畑作業や草むしりをしてもらったり、イベントの運営スタッフになってもらったりするプログラムも用意し、関係人口と地域住民との交流を図る。今年5月末時点の会員数は1万7000人で、人口の8割に匹敵する規模となっている。
基本構想では、34年度末までに関係人口を延べ1億人創出することを目標に掲げた。政府はふるさと住民登録の具体的な制度設計を進める方針。政府関係者は「どういう形態の関係人口があるのか把握したい」と話す。飛騨市のように、自治体にも参加する国民にもインセンティブのある制度を構築できるかどうかが成否のカギを握ると言えそうだ。
