
【ソウル時事】韓国大統領選の投票日が3日に迫った。最後の週末となった1日、リードする革新系最大野党「共に民主党」の李在明前代表(60)は保守地盤を切り崩そうと南東部を遊説。保守系与党「国民の力」の金文洙前雇用労働相(73)は無党派層の多い首都圏で懸命の追い上げを図った。
「非常戒厳」を宣言した尹錫悦前大統領への批判的な世論を追い風に、戒厳への審判と「民主主義の回復」を掲げる李氏が優位な戦いを進める。投開票の6日前から世論調査の公表が禁止されているが、情勢は大きく変わっていないとみられている。
金氏との差を広げたい李氏は1日、保守層が多い南東部の慶尚北道安東や大邱などを訪れた。安東生まれの李氏は、尹氏を中心とする「内乱勢力」を批判しつつも、「国民を二分する半分の大統領ではなく、国民を大きく一つにまとめる全ての人の大統領になる」と強調。反対勢力を力でねじ伏せようとした尹氏と違い、保革や地域の対立を乗り越える考えをアピールした。
一方、金氏は李氏がかつて市長を務めたソウル近郊の城南などで遊説。尹氏による戒厳宣言後の混乱について「深く反省する」と演台で土下座した。李氏が市長時代の不正などで起訴されていることを指摘し、「監獄に行くべき人が大統領になれば国が犯罪まみれになる」と攻撃した。
劣勢の金氏は保守系野党「改革新党」の李俊錫議員(40)との保守系候補一本化を目指したが、李俊錫氏は拒否してきた。同氏は1日、「大統領選で韓国の希望を守る意義のある高地(足場)を確保する」とSNSに投稿した。
〔写真説明〕1日、韓国・大邱で李在明氏の演説会に集まった聴衆(EPA時事)