
農林水産省は、政府備蓄米の随意契約について、一時休止している申請の受け付けを30日にも再開する。コメの取扱数量が年間1万トン未満の米穀店など中小小売業者を売り渡し対象とする。大手小売業者を対象とした休止前と比べ、取り扱う業者が増える可能性もある。政府が担う業者までの輸送のほか、精米設備がない小売業者が精米の委託をスムーズに進められるかどうかが、備蓄米が早期に店頭に並ぶためのカギを握る。
小泉進次郎農林水産相は28日、国土交通省で中野洋昌国交相と面会。競争入札時の備蓄米の流通とは異なり、随意契約の場合、政府が小売業者に直接運ぶ。このため、トラックの手配などが滞りなく行われるよう、倉庫業者や運送業者の協力を小泉氏は要請した。中野氏は、「物流で目詰まりを起こすことがないよう、改めてしっかりやっていきたい」と応じた。
小泉氏は、コメ卸売業者の団体である全国米穀販売事業共済協同組合の山崎元裕理事長らと意見交換。随意契約の対象には含まれていないが、精米能力を持つ卸売業者に対し「精米のフル稼働」(小泉氏)で協力するよう求めた。面会後に記者団の取材に応じた山崎氏は、随意契約による備蓄米の流通を優先する方針を示した。
随意契約を通じた備蓄米の店頭価格は、2022年産も含めて5キロ税別2000円を目安にしていたが、受け付け再開後は、残りの21年産米のみが対象となる。より安価な1800円程度になる見通しだ。小泉氏は28日夕、米穀店と中小スーパーなどでそれぞれ数量枠を設けて、申し込みを受け付ける方針を表明した。
農水省は26日、22年産米20万トン、21年産米10万トンの計30万トン分について、随意契約の受け付けを開始した。27日夜までに約70社の申し込みがあったが、その大半は22年産米に集中。上限の20万トンに達する見込みとなり、受け付けを休止した。
受け付け再開に先立ち、同省は29日、新たに売り渡し対象となる中小小売業者向けの説明会をオンラインで開く予定。
〔写真説明〕中野洋昌国土交通相(左)と面会する小泉進次郎農林水産相=28日午後、東京・霞が関の国交省
〔写真説明〕全国米穀販売事業共済協同組合の理事長らとの面談後、取材に応じる小泉進次郎農林水産相=28日午後、東京都千代田区