
ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、ロシアとの直接協議に合わせて自身が「15日にトルコでプーチン(大統領)を待つ」と首脳会談を提案したことに対し、先方から返答はないと不満を表明した。ビデオ演説で「丸1日沈黙しており、奇妙だ」と挑発。ウクライナと欧州諸国が求めた12日からの「30日間の停戦」を無視し、ロシア軍は侵攻を続けていると批判した。
欧州諸国首脳は10日、首都キーウでゼレンスキー氏と会ってトランプ米大統領にも電話。ロシアが停戦に応じなければ、制裁を強化し、対ウクライナ軍事支援を拡大すると確認した。
これを受け、プーチン氏は11日未明に急きょ記者会見。「前提条件なし」の直接協議を15日にトルコ・イスタンブールで始めるよう呼び掛け、停戦はその際に議題にすべきだという立場を示した。ロシアに都合の悪い「即時停戦」から論点のすり替えを図り、外交の主導権を取り戻すとともに、直接交渉を求めてきたトランプ政権の歓心を買うことを同時に狙ったとみられている。
プーチン政権は軍事力による圧迫を緩めず、所期の目的であるウクライナの「非武装化」を達成するのが至上命令。協議に先んじて戦闘を停止すれば、交渉カードを失うという考えを持つ。
ロシアのペスコフ大統領報道官は12日、「最後通告」のような要求は受け入れられないと欧州諸国に反発。「トランプ氏もウクライナに無条件で直接協議に応じるよう訴えているはずだ」と述べ、即時停戦は前提でないと主張した。
直接協議はまず代表団レベルになるとの見方が強い。ただ、首脳レベルの実現を見据え、トランプ氏は12日の記者会見で、自身も出席する可能性を示唆した。
〔写真説明〕ウクライナのゼレンスキー大統領(左)とロシアのプーチン大統領(AFP時事)