スカートの下のぞき込むようにパシャ! イベントの「カメラ小僧問題」邪魔者…と言い切れない場合も

クルマやバイクのイベントでマシンを彩るのがコンパニオンの女性たちです。ところが、そんな彼女たちを撮影するカメコの一部にマナー違反が見られ、問題になっています。この問題を解決する方法は果たしてあるのでしょうか。

クルマやバイクショーの「迷惑カメコ問題」どう考える?

 クルマやバイクのイベントで、ピカピカに磨き込まれた美しいマシンの傍らに立ち、展示車両をより魅力的に見せ、企業イメージの向上を図る目的で起用されるのがイベントコンパニオンの女性です。2025年3月28日(金)~30日(日)にかけて東京ビッグサイトで開催された「第52回東京モーターサイクルショー」においても、少なくない出展企業が容姿端麗なコンパニオンを採用していました。

 こうしたイベントに足を運ぶ人の多くが、クルマやバイクの愛好家、そして業界関係者です。彼らの目的は展示される車両や製品であり、コンパニオンはあくまでも展示物に花を添える存在として捉えている向きが多いでしょう。その一方で、クルマやバイクを脇役と見なし、コンパニオンを主な目的に訪れる人もいます。いわゆる「カメコ」(カメラ小僧の略称)と呼ばれる人たちです。

 彼らは写真撮影が趣味ですが、その被写体のメインは若く美しい女性です。その多くは熱心なカメラ愛好家であり、展示車両やブースの雰囲気を楽しみながら撮影しています。しかし、なかには極端なローアングルで女性たちを撮ったり、わざとコンパニオンのスカートの中を盗撮したりする不届き者までおり、問題となっています。実際、過去には迷惑防止条例違反で逮捕者も出ています。

 ショー会場は、ある意味で「美」を競い合う場所でもあるわけですが、クルマやバイクの愛好家とカメコではその対象が異なることから両者のあいだで軋轢が生じることもあります。

 モーターファンからカメコに対して出る不満としては「クルマやバイクをじっくり見たいのにカメコが邪魔で見られない」とか「子どもと一緒に来場したときにコンパニオンを夢中で撮影するカメコの姿に気まずさを感じる」などがあります。

 ゆえに、出展ブースによっては撮影タイムを設定したり、撮影エリアを別途設けたりといった工夫をしていますが、問題の抜本的な解決には至っていません。

立場で変わる コンパニオン撮影に関する不満とは?

 今回の「第52回東京モーターサイクルショー」では、出展メーカー側からも「コンパニオンを撮影するカメコはいつも同じ顔ぶれ」「バイクそっちのけで女の子だけを撮影するばかりで、本当に製品のPR効果があるのか疑問に思うこともある」という意見を聞きました。

 ショーに参加するコンパニオンは撮影に慣れており、写真を撮られることも仕事のひとつとして理解しているようです。とは言うものの、盗撮は論外として、極端なローアングルでの撮影は写真がどのように使われるのかがわからず、そのような撮影は決して彼女たちにとっても本意ではないはずです。

 なお、ほとんどのカメコは趣味として純粋に撮影を楽しんでいます。彼らからすれば「マナーを守って健全に撮影を楽しんでいるだけだ。トラブルを起こすのは一部であって、なぜカメコ全体が批判されなければならないのか?」と反論することでしょう。

 たしかに、自動車やバイク専門誌では、新型車とグラビアアイドルの組み合わせが表紙を飾ることがあり、マシンと美しい女性のコラボレーションは魅力的な被写体として昔から用いられてきた古典的な手法です。それを撮影したいというカメコの気持ちも理解できなくはありません。

 マシンと女性のコラボに多くの人が魅力を感じるからこそ、イベントの出展企業は集客力の向上と、テレビや雑誌などのメディアによる紹介を期待してコンパニオンを起用しています。

 事実、黙っていても多くの客が集まる大手メーカーよりも、新興メーカーや中小企業ほどコンパニオンの採用例が増えることからもそのことは明らかでしょう。

「明文化されたガイドラインとゾーニング」が問題解決のカギ

 それでは、このカメコ問題、どうすれば丸く収まるのでしょうか。筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)は主催者による撮影ルールの明文化とゾーニングだと考えます。

 現在、コンパニオンの撮影に関しては個人のマナーと主催者の判断に任せられており、曖昧なものになっています。例えば、問題行為の一例として「極端なローアングルでの撮影」を挙げましたが、その線引きは難しく、どこまでが健全な撮影でどこからがマナーに反した行為なのかは個々人の意識によって異なります。

 全身写真の場合、下から見上げるような撮影を一律で禁止すると、実際よりも女性のスタイルが悪く写るため、撮影者からも被写体であるコンパニオンからも不満が出るでしょう。

 そこでイベント主催者が「全身撮影の場合は女性から3m以上の距離を取る。カメラの位置は床から1m以上」などと細かなガイドラインを作り、NG行為を明らかにするべきと考えます。

 次にゾーニングですが、例えばショーの終了後、別途入場料を徴収してコンパニオンの撮影を目的にした「フォトナイト」のようなイベントを開催するのはいかがでしょうか。

 今回の「第52回東京モーターサイクルショー」を例にすると、一般公開の時間中はコンパニオンの撮影を原則禁止します。そして、18時の一般公開終了後に19時から2時間程度、未成年が入れない大人だけの時間帯を設けて撮影会を開催するのです。

 併せて人気女性タレントなどの特別ゲストを招いたステージイベントなども開催し、独立したイベントとして運営すれば、撮影を目的にしたカメコはきっとそちらに流れることでしょう。

 その場合、商品の説明員を置く必要がないので出展企業の負担は小さく、「フォトナイト」で得られる収益の中から場内警備を担う警備員を雇えばトラブルの心配も低減できます。

 このように、モーターファンとカメコの住み分けを図ることにより、それぞれが楽しめる環境が生まれます。これで、ある程度問題は解消すると思うのですが、いかがでしょうか。

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