
2025年3月19日、羽田空港第2ターミナルの離れ小島の空港ビル「北側サテライト」と本館をつなぐ接続部が完成し、北側サテライトへの徒歩でのアクセスが可能となりました。
2025年3月19日改変
2025年3月19日、羽田空港第2ターミナルの離れ小島の空港ビル「北側サテライト」と本館をつなぐ接続部が完成し、北側サテライトへの徒歩でのアクセスが可能となりました。しかしこの増設エリアは、一部のユーザーより「徒歩で行くには保安検査場から遠すぎる」といった声も挙がっており、”離れ小島”時代のほうが良かった――という意見があるのも事実です。実際に新運用開始後に、サテライト発の旅客便を使ってみました。
そもそも「サテライト」は、以前はどのような運用をされていたのでしょうか。
通常、飛行機に搭乗、降機するとき、利用者は空港のターミナルビルから搭乗橋(ボーディングブリッジ)を使うか、あるいはバスや徒歩で機体のそばまで行き、階段が備え付けられた車両(タラップ車)で乗り降りするのが一般的です。ところが羽田空港のサテライトからの搭乗、降機方法はこのどちらでもあり、どちらでもないといったユニークなものです。
以前のサテライトは、出発する際、利用者はいったん第2ターミナルの本館で保安検査を通過したのち、専用のゲートからバスでサテライトに向かいます。到着したサテライトは3基の搭乗橋が設置されていて、利用者はそこから本館と同じような形で、搭乗橋を使って飛行機に乗り込むという、本館からの直接搭乗とバス搭乗の両面を組み合わせた運用だったのです。
ただ前述の日よりこの運用が変わり、本館直結で搭乗橋を用いる運用方法になりました。同ターミナルを国内線の拠点としているANA(全日空)によると、この改修により、同社国内線におけるバス利用便は、出発・到着ともに1日あたり4割から2割程度にまで減少する見込みとのことでした。
ただこの直接搭乗は、ケースによってはターミナル内で長い距離を歩かなければならないケースも生じます。それならばひと思いに「バスで連れて行ってもらった方が助かる」というケースもあるのでは――というのが一部で聞かれる声です・。
そのようななか筆者は2025年3月の終わり、関西国際空港行きのANA便を予約したところ、アプリ上で同便の使用予定搭乗口が「47番」と表示されました。旧サテライトエリアは47、48、49番が、今回の増設にともなって新たに設置された搭乗口は50番、51番、52番です。つまり、サテライトへ徒歩で向かう新運用の対象便に乗ることができるというわけです。
ちなみにこのときはこれらの駐機場を中部、岩国、米子、高松、宮崎、函館行きのANA便、鹿児島行きのソラシドエア便が使っていました。
「羽田新T2誕生」実際どうなの?
羽田空港第2ターミナルはA・B・C・Dと4つの保安検査場があります。そのうち、中央北寄りにあるB検査場は、鉄道駅・バスからのアクセスのしやすさや最新の保安検査の導入で処理能力が高いことなどから、多くの人が利用します。
筆者は、サテライト接続にともなってこの搭乗口まで徒歩で歩いて時間を図りました。結果としては接続部までの分岐点へは約3分30秒を要し、搭乗口までは10分かかりました。とはいうものの、増設エリアにはコンビニエンスストアの「セブンイレブン」があり、以前と比べると格段に「飛行機を降りるまでにほしいもの」を手に入れられる環境が実現しました。同店を有効活用すれば、そこまで退屈することなく、搭乗時刻を迎えられそうです。
その一方で、保安検査場からサテライトは10分程度を要し、同駐機場を発着する便に乗ると見られる乗客2人が「遠いよ」と話す光景も見られました。
国土交通省航空局では、ギリギリの保安検査通過時刻である「出発20分前」を空港に着く目安として定めており、これを過ぎた場合、即座に搭乗口で搭乗案内が始まるケースが多く見受けられます。つまり、国内線旅客機の乗客は時刻表上の20分前に、搭乗口でいつでも呼ばれていいように準備する必要があるというわけです。
実際定刻にスムーズに出発する便であれば、出発10分前はほぼ全乗客が乗り込み、機体のドアが閉まるのを待っている状態が一般的です。もしこのとき、定刻ギリギリに乗り込んでくる乗客が通路に入ると、他の乗客からの冷たい視線を浴びることは必至でしょう。これは「出発時刻=旅客便が動き出す時刻」と定めている航空便の特殊性に端を発するものですが、サテライト発着便は同ターミナル中央の駐機場からの距離があります。結果的に「ギリギリ搭乗」となってしまう可能性があるのです。
そういう意味では、サテライト発着便・ならびに拡張エリア発着便は、本館発着便と同様に「20分前に空港に着けばいいや」としていると危険かもしれません。とはいえ駐機場の番号はかなり覚えづらいのも事実ですから、よほどの事情がない限り、「乗る便の出発30分前には空港に着く」というのが、第2ターミナル発着の国内線利用で乗客がとるべき安全策かもしれません。