
陸路だと行き来に1時間以上かかることが一般的な関西空港と神戸空港。ただ、実はこの2空港を海路で結ぶ船が存在します。どのようなものなのでしょうか。
陸路なら「回り道」…なら海からダイレクトに!
関西圏中心部には、3つの民間空港が存在します。そのうち洋上に位置するのが、関西空港と神戸空港。これらの2空港は直線距離で20km少々ですが、陸路だと湾に沿って迂回するようなルートを取らざるを得ないため、2空港の行き来は1時間以上かかることが一般的。ただ、実はこの2空港を海路で結ぶ船が存在します。今回、実際に乗ってみました。
2空港を結ぶ船「神戸-関空ベイ・シャトル」は1日16往復、朝5時台から0時台まで、おおむね1時間に1本のペースで運航されています。それぞれ空港ビルから離れたところに乗降場(桟橋)があり、これらの2地点をおよそ30分で結んでいます。大人1人あたりの片道運賃は1880円。ネットによる予約購入のほか、空港のチケットカウンターで当日購入も可能です。ただし、予約ですでに満席の場合は、当日購入でその便に乗ることはできません。
今回は関西空港から神戸空港まで、当日購入で「神戸-関空ベイ・シャトル」へ。関西空港のチケット売り場は第1ターミナル到着口のある1階の北側です。片道チケットを購入すると、神戸空港と神戸市中心部の三宮駅を結ぶ新交通「ポートライナー」の片道乗車券も一緒についてきます。
第1ターミナルから桟橋まではバスで向かいます。バスは桟橋出発の10分から15分前に出発。バスの車内は、座席がほぼ埋まり、立ち客もいるほど。乗船日は2025年3月末ごろでしたが、半分くらいがインバウンド(訪日旅行者)と見られる人たちでした。時刻表上は10分程度と表示されていたものの、実際にバスに乗っている時間は5分ほどでした。
関西空港の桟橋へと到着しました。
「関空~神戸を結ぶ船」中身はどんなもの?
使用されている船は1階建ての客室に横2-4-2列の座席が並び、110人を収容することができるとのこと。公式サイトによると、「リムジンバスに比べて、座席下には足を伸ばせる、ゆったりとしたスペースがあります」とのことで、確かに足元がゆったりとしています。
また客室は「神戸のもつイメージとしてシックでエレガントかつカジュアルな感じを内装、客席シートに反映させ港町神戸にふさわしいデザイン」(公式サイトより)だそうで、各区画の最前方中央部には大型のモニターがあり、緊急時に備えた安全ビデオやテレビ番組などが放映されていました。
船は午前11時05分に出航しましたが、その後「海面がしけっているため、速度を落として運航する」というアナウンスが。確かに筆者が過去に乗ったフェリーと比べると、揺れは大きいです。ただ、客室右手には、高層ビルの並ぶ大阪中心部の町並みが。もし海が穏やかで晴れた天候であれば、気持ちの良い船旅が満喫できるでしょう。
船に揺られながら窓越しで町並みを眺めているうちに、あっと言う間に神戸空港の近くへ。船が神戸空港の桟橋についたのは、この日は11時38分でした。低速で運航されたといっても、30分程度で到着です。桟橋のある海上アクセスターミナルは、駐車場などを挟んで、同空港旅客ターミナル(編注:4月18日オープンの第2ターミナルではない)の向かいにあり、両ビルは徒歩5~6分で行き来ができるようです。また、料金無料のバスもあり、こちらを使えば海上アクセスターミナル片道2~3分で旅客ターミナルまで行けるとのことです。
大阪の空港から神戸中心部は、大阪府・兵庫県境にある伊丹空港~神戸三宮間もバスで結ばれており、40分程度で行き来ができますが、実は陸路だと遠く感じる関西空港からも、海路を使えば神戸市中心部にラクにアクセスが可能なのです。「神戸-関空ベイ・シャトル」関西圏の旅行プランを練る上で、有効な選択肢のひとつといえるのではないでしょうか。