東急→西武の譲渡車両は「大がかりな改造」に!そのワケとは? いよいよ始まる車両の移籍

西武鉄道が「サステナ車両」と称して、東急電鉄の9000系電車を譲り受けます。既に導入が始まっている元・小田急車と異なり、大掛かりな改造になるそうです。

今年度から始まる東急9000系の車両譲渡

 西武鉄道が「サステナ車両」と称して、東急電鉄の9000系電車を譲り受けます。いよいよ今年度から車両の移籍が始まる予定ですが、これに際して大掛かりな改造が施されるようです。

「サステナ車両」とは、他社から西武鉄道に譲受されたVVVFインバーター制御の車両を指し、小田急電鉄8000形電車と、東急電鉄9000系電車が「サステナ車両」として導入されます。昨今では珍しい、大手私鉄から大手私鉄への車両譲渡ということで、注目を集めています。

 西武鉄道は、池袋線や新宿線といった本線系統には新造車両、支線には中古の「サステナ車両」を導入してVVVF化を進め、2030年度までに車両のVVVF化100%を実現する予定です。

 既に小田急8000形は「西武8000系」として改造が始まっていますが、鋼製車体で既に車齢が40年に達しており、必要最小限の改造となっています。それに対し9000系は「大掛かりな改造になる」(西武鉄道 鉄道本部 車両部 車両課の担当者)といいます。

 東急9000系は大井町線で使われている車両で、1986年に登場。東急では初めて交流モーターを採用し、東横線の主力車両として活躍しましたが、現在は大井町線で活躍しています。大井町線に新型車両が投入されることに伴い、玉突きで9000系が西武へ移籍する形です。

 現在9000系は5両編成が15本、さらに9000系とよく似た見た目の9020系という車両が3本あります。この9020系も西武鉄道に移籍します。西武鉄道では多摩川線、多摩湖線、秩父線、狭山線で運行される予定です。

外装は変える?秩父鉄道への直通はどうなるのか

 西武鉄道は、9000系の譲受にあたり、「8000系と同じく新たなデザインを車両部内で公募しており、外装は変更する予定」(同)と話します。新たなデザインは今後発表するといいます。

 また、「東急の9000系は8000系と異なり、VVVFやSIV(補助電源装置)が古いため、交換することになります」とした上で、「それに加え、西武秩父線では正丸トンネルなどの長大トンネル区間が存在するため、車内の燃えやすい素材を全て交換する必要もあります」と話します。

 改造は東急テクノシステムと、西武鉄道の武蔵丘車両検修場(埼玉県日高市)の2か所で実施されるそうです。

 車内に関しては床材も取替えとなり、9000系の座席形態(ロングシートの座席や車端部にあるボックス席)については「現時点では変更する予定はない」とのこと。西武秩父線の置き換え対象車である4000系はボックスシートが主体のセミクロスシートですが、今後、同線はロングシートが主体となるようです。

 また4000系は現在、秩父鉄道へ直通する運用がありますが、9000系は「秩父鉄道の設備がVVVF車に対応しておらず、誘導障害が課題となるため、乗り入れる予定はありません」としています。

 西武鉄道と秩父鉄道の直通列車は縮小傾向にあり、車両置き換えに伴う動向が注目されます。ちなみに、両線を結ぶ御花畑駅の2番線は秩父鉄道ではなく、西武鉄道が所有する設備となっています。

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