「元西武電車の楽園」がいよいよ見納め? 車両置き換えで“JR東海っぽく”なっていくローカル私鉄 でも“東武”もいる!?

三岐鉄道の三岐線に元JR東海の5000系電車が登場し、2025年春から大きな変化が見込まれています。単なるローカル私鉄のイメージだけでは終わらない、三岐線の“今”ならではの魅力と楽しみ方とは。

現行の車両を楽しむなら今がチャンス

 三重県の三岐鉄道が2025年5月から、近鉄富田~西藤原を結ぶ三岐線に新型の5000系電車を投入する予定です。現在の車両は順次置き換えられることになります。大きな変化が予想される三岐鉄道の、“今”の楽しみ方を紹介します。

 三岐線の旅客列車は101系(2両×3編成)、751系(3両×1編成)、801系(3両×3編成)、851系(3両×1編成)が活躍しています。いずれも以前は西武鉄道を走っていた車両たちです。この中で特に注目したいのは、特別な塗装をまとった編成でしょう。

●西武イエロー塗装編成(801系805編成)
 西武時代の黄色塗装を再現した編成です。

●西武「赤電」塗装編成(801系803編成)
 かつて西武車両がまとっていた赤とトニーベージュの塗り分けが特徴。イエロー塗装の805編成とともに、西武ファンにとっては特に注目の的です。

●三岐鉄道の旧塗装復刻編成(101系101編成)
 かつて三岐鉄道の標準塗装だった深緑色をベースに、窓周りを黄色としたレトロな外観が特徴です。

●住友電装コラボラッピング(801系801編成)
 住友電装が主体となり、四日市市の高校生がデザインしたラッピングをまとっています。明るくカラフルなデザインは見ているだけで楽しくなります。

 これら4編成の特別な塗装のほか、851系851編成は両端の先頭車で顔や雨樋の高さが異なるなどの特徴があります。西藤原方の先頭車だったクハ1851が事故で廃車となってしまい、部品取り用だった元クハ1238を営業用のクハ1881として組み替えたことにより、この個性的な編成が誕生しました。

 また、現在851編成には5000系の導入にあわせて在来編成の引退ごとにデザインの異なるヘッドマークを取り付けています。塗装変更編成やヘッドマーク装着編成に出合えたらラッキーといえるでしょう。

会えたらラッキー? 「幻」の車両

 三岐鉄道の大きな特徴といえば、貨物輸送も行っていることです。今では私鉄の貨物列車はすっかり少なくなってしまいましたが、三岐線の富田~東藤原間ではセメントやフライアッシュ・炭酸カルシウムなどを運ぶ貨物列車が運転されています。

 三岐線内を牽引(けんいん)する電気機関車は、ED45形9両とED5081・ED5082。このうちED5081・ED5082は東武鉄道から譲り受けたものです。いずれも2両1組の重連で運用され、迫力ある姿が魅力です。

 塗装は茶色をベースに黄色い帯を巻いていますが、ED451だけは茶色一色の塗装をまとっています。これは2024年秋、三岐線の電化70周年を記念してかつての茶色塗装をイメージして塗り替えられました。1両だけの塗装であるうえ、他の機関車と共通で使われるため、どの列車に充当されるかは分かりません。出合えるかどうかは運次第です。

 そして三岐鉄道にはもう1両、「幻」ともいわれる電気機関車のED301が存在します。普段は東藤原駅近くの工場内で貨車の入換作業に従事しているため、一般の人が目にすることはありません。外へ出るのは数か月に一度の検査で保々へ来たときなど、極めて稀なので「幻」といわれています。見た目は灰色にオレンジ色の帯を巻いた凸型。もし見かけたら相当な幸運の持ち主といえるでしょう。

 ちなみに東藤原駅の北側、西野尻方面には太平洋セメントの藤原工場が広がっており、三岐線はこの間を縫うように走っています。東藤原~西野尻間を乗車していると、ローカル線の風景から突如工場の中へ迷い込んだかのような景色に変わり、非日常感を味わうことができるのでおすすめです。

 新型の5000系は、元はJR東海の211系です。譲渡された211系は、5000系への改造が今後も徐々に進む見込みですが、改造前の湘南色帯の211系が数多く留置される様子や三岐鉄道の車両と顔を合わせるシーンは“今”ならでは。個性あふれる車両や沿線風景とともに期間限定の光景を楽しめます。

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