「このヘルメット本当に安全なの?」ネット販売の“自転車用”を、国民生活センターが調査した結果

国民生活センターがインターネット通販サイトで販売されている自転車用ヘルメットを抜き打ちで性能確認。欧米の基準適合を示すマークがありながら、実はそこにも適応していない製品の存在を明らかにしました。

「海外基準を満たしています」があてにならないヘルメット_

「自分の購入した自転車用ヘルメットは安全なのか」。こんな相談が国民生活センターに寄せられるようになりました。2023年4月から自転車用ヘルメットの着用努力義務が始まって以降、「ヘルメットの安全性能が注目されるにつれて増加傾向にある」(同センター)と言います。

 特に実物を見たり、触れることのできないインターネット通販サイトでの購入について、注意して選んだつもりでも安全性能が劣っている製品を買ってしまう可能性があるため、国民生活センターが2025年3月26日、商品テストの結果を公表しました。

 国民生活センターは2024年11月~12月にかけて、eコマースサイトで販売されている6種類の自転車用ヘルメットの衝撃吸収性、あごひも強度、安全基準の適合マークなどの表示やその内容について、商品テストを実施しました。

 購入で最も問題とされるのが、安全基準に関するウェブサイト上の説明です。商品テストを実施したヘルメットのひとつは、

《欧州委員会のCE認証を受け、安全規格(E1078)を満たしている》
《米国/カナダ消費者製品安全委員会による安全規格CPSC認証を受け、(CPSC1203基準)を満たしている》
《2種類の国外基準を満たしているので、補助金対象商品です》

と、説明していました。

 しかし、欧州規格E1078に準拠した商品テストを行った同センターによると、この自転車用ヘルメットは、一定の高さ(約154cm)から落下させた衝撃吸収試験で基準値以下。あごひもに対する一定の衝撃時に、瞬間的な伸び率や試験後の伸び率が大きく、基準を満たさない商品でした。

 実際の安全性能が基準値以下の自転車用ヘルメットについて、同センターは次のような対応を実施したと話します。

「基準に適合していない場合は景品表示法状の優良誤認にあたるおそれがある。(テストで判明した製品については)消費者庁が販売事業者に対し、景品表示法に基づく措置命令(優良誤認)を2024年12月12日に行った」

 日本でも知られているCE認証はEU(欧州連合)の基準で、製造者自身が認証テストを行い、CEマークを貼付する「自己適合宣言」型の仕組みです。商品テストの対象ヘルメットは、国内の販売事業者(不明1社)が輸入した製品で品質テストなどを実施する可能性が低く、そのまま説明がされている可能性があります。

「CEマークがついていても、日本国内で効果が発揮されるものではない」(国民生活センター)

 また、日本には自転車用ヘルメットに法令で定める安全基準がないことから、インターネット通販サイトでも、欧米の安全基準が商品選択の基準となっていると思われます。“偽”の安全基準に頼らない選択方法はあるのでしょうか。

安全基準マークに頼らなくても、安全性能を見極められる5つの視点

 自転車用ヘルメットの場合、安全基準に頼らなくても、商品の画像などである程度見極めることができる「外形上の主な注意点」があると、国民生活センターは話します。外見上のNGポイントは4つです。

(1)ヘルメットの内側全体に衝撃吸収層がついていない
(2)あごひもの幅が15mm以下、あごひもにチンカップが付いている
(3)あごひもが取り外し可能 確実に取り付けられていない
(4)帽子のひさし部分のようにつばが広く、着用時に視野が隠れる

 自転車用ヘルメットの中には帽子タイプもありますが、発泡スチロールなどの衝撃吸収層が内側全体にないと、地面などに頭部が衝突した場合のショックを受け止められません。折りたたんで持ち運べることに配慮してウレタンパッドだけという製品では衝撃吸収性が低いです。

 また、ヘルメットの帽体以上にあごひもは重要です。衝撃時にあごひもは伸びるので、それに耐える強度と首への衝撃を和らげるために15mm以上の幅のあるベルトのようなあごひもで構成されている必要があります。さらに、あごひもは帽体に固定されていること。ひも状のあごひもだったり、首にかかるのを防ぐためにチンカップが付いていたりする製品は、事故時に簡単に脱落してしまうため、自転車用ヘルメットには適当ではありません。

 さらに、帽子タイプでも、サンバイザーのようにつばが広く、視野が隠れてしまうデザインはヘルメットとしての安全性が低いとみなされます。「顔中央の垂直軸から左右それぞれ105度の視野の確保が必要」と国民生活センターは話します。

 国内には法令基準はありませんが、第三者認証型のJISマークやSGマークがあります。また、日本自転車競技連盟も公認推奨基準を定め、第三者認証を行っています。

「こうした国内のマークが付いた商品を選択することが妥当です」(前同)

 自転車用ヘルメットの装着は努力義務なので、かぶらないことで法令違反に問われることはありません。しかし、事故の賠償ではケースによって過失割合を問われる可能性が考えられます。自転車ヘルメットでも確実な安全性が得られるモデルと、そうでないモデルがあることに注意が必要です。

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