世界最強の戦闘機「F-22」ステルス性なくなったら弱いんでしょ?「←メチャ強いです」 断言できる理由とは

アメリカ空軍に200機弱しかないF-22「ラプター」は、世界屈指の高性能戦闘機といわれています。ただ、その高性能はなにもステルス性に支えられているわけではないとか。じつはステルス性がなくても「最強説」は揺るがないようです。

スーパークルーズ能力の有無がミサイルにも影響

 アメリカ空軍のF-22「ラプター」は、世界屈指の高性能な戦闘機として知られています。主な特徴としては、極めて高いステルス性と機動性、そして21世紀に誕生した戦闘機ならではの高度なアビオニクス(航空機搭載電子機器)が挙げられます。ステルス性によって敵のレーダーに探知されにくく、先制攻撃の機会を増やすことができるため、これがF-22の最大の強みであると一般的に認識されています。

 とはいえ、もし仮にF-22からステルス性を取り除いたとしても、この戦闘機は依然として極めて強力な存在であり続けるでしょう。なぜなら、F-22はその驚異的な機動性によって、ミサイル戦闘においても他の戦闘機を圧倒する優位性を持つからです。一般的に、機動性は格闘戦(ドッグファイト)でのみ有効と考えられていますが、実はミサイル戦においても決定的な影響を与える要素になりえるのです。

 F-22の主要装備である空対空ミサイルAIM-120「アムラーム」は、視程外からの攻撃も可能な長射程を誇ります。推進力には固体燃料ロケットを用いていますが、これは発射直後から数秒~10秒程度ロケットエンジンを噴射します。噴射が完了し最高速度に達した後は慣性飛行(滑空)に移行し、目標へ向かいます。つまり、ミサイルが飛行する距離や到達速度は、発射時の初速や高度によって大きく影響を受けるのです。

 ここでF-22の「スーパークルーズ」能力が極めて重要になってきます。スーパークルーズとは日本語に訳すと「超音速巡航」で、アフターバーナーを使用せずに超音速飛行を維持できる能力のことを指します。F-22はマッハ1.8程度でのスーパークルーズが可能で、これによりミサイル発射時の「初速」を大幅に向上させることができるのです。通常の戦闘機が亜音速(マッハ0.9以下)でミサイルを発射するのに対し、F-22はさらに高い速度域で発射できるため、ミサイルはより高い初速を得られ、結果的に滑空距離が大幅に伸びるというわけです。

どれだけ高い位置を飛べるかもポイント

 また、F-22のもうひとつの特筆すべき特性は、高高度での飛行能力です。非常に大きな主翼や水平尾翼、そして推力偏向ノズル付きの大推力エンジンは空気の薄い高高度での飛行能力を与え、一般的な戦闘機の実用上昇限度を遥かに上回る1万8000m以上の高度で作戦行動を行うことが可能です。この高度では空気抵抗が減少するため、ミサイルの滑空距離が、やはり劇的に向上します。

 こうした理由から、高い初速と低い空気抵抗によってAIM-120「アムラーム」の射程は大幅に延伸し、結果、ほかの戦闘機を用いるよりも撃破確率を高められるのです。F-22の真骨頂はあくまでもステルス性や情報処理能力を活かし、戦う前に優勢を確保する「ファーストルック(先制発見)」「ファーストシュート(先制攻撃)」「ファーストキル(先制撃墜)」にありますが、仮に対等な条件であったとしても優位に戦うことが可能であるといえるでしょう。

 F-22よりもあとに開発されたF-35「ライトニングII」は、F-22を上回るアビオニクスを搭載し、F-22とは違った戦い方を得意とする戦闘機ですが、機動性や高高度性能については既存の戦闘機と同等レベルであり、F-22のような戦い方はできません。

 以上のようにF-22は単なる「見えない戦闘機」ではなく、スピード、機動性、武装の特性を活かして圧倒的な空中戦力を維持し続けることができ、空中戦に勝つことを義務付けられた、21世紀の空戦において最も強力な航空兵器であり続けています。

 ゆえに、F-22は「エアドミナンスファイター(航空支配戦闘機)」と呼ばれるのです。こうした理由から、制空戦闘に限っていえば、F-22「ラプター」一強の時代はまだ当分続くのではないでしょうか。

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