もっと低いのでは…? 大阪の衝撃的な「1.2mガード」の謎 チャリで突っこむ人が絶えない!?

道路の「高さ制限」の標識は、その高さが4.1mより低い場合に設置されます。高さ1.8mを下回るような場所では人の通行に支障をきたす場合もありますが、じつはそれよりもはるかに低い高さのガードが、大阪市内に実在します。

もっと低いんじゃないか…? 大阪市内で見つけた衝撃のガード

 道路が立体交差で他の道路や鉄道をくぐる場合、その手前に「高さ制限」の標識が設置されていることがあります。車両の高さについて、「車両制限令」では「道路管理者が道路の構造の保全及び交通の危険の防止上支障がないと認めて指定した道路を通行する車両にあっては4.1m、その他の道路を通行する車両にあっては3.8m」と規定されています。

 そのため他の道路や鉄道との立体交差では、高さが4.1m以上ある場合は何も表示がなく、それよりも低い場合には個別に表示がなされるのが一般的です。ただし、その高さが2m未満などあまりにも低い場合は、車両通行が禁止となるケースがほとんどです。

 もちろん、2m未満であっても、おおむね1.8mくらいまでであれば、人や自転車は問題なく通行できます。しかし実際には、それよりもはるかに低い高さながらも、人や自転車がひんぱんに往来するガードが大阪市内にあります。それが東海道本線の支線である北方貨物線の「田川第1開きょ」をくぐるガードです。

 現地に行き、南側からガードが目に入る位置までに近づくと、まず驚くのはその「低さ」です。入口左手には高さ制限「1.2m」の標識が立っていますが、実際には1mにも満たないように感じられるのです。

しかしガード下まで見通せるところまで来ると、その「からくり」がわかります。ガード下の道路が線路に並行して走る道路の路面レベルよりも掘り下げられているため、実際の高さよりも低く錯覚してしまうのです。ただそれでも、絶対的に“低い”ことには間違いがありません。1.2mは若干のマージンを持った数字であるとしても、実質は1.4mほどでしょうか。

平均的な男性であれば、腰を曲げて窮屈な姿勢で歩かないと、ガードに頭どころか、顔をぶつけてしまいます。女性であっても、よほど小柄な人でなければ、首を縮めるだけでは通り抜けられないでしょう。しかも上を通る北方貨物線は複線のため、この苦しい状態で10m近く歩くことが求められるのです。

意外にも往来が激しいワケ

ただ意外にも、このように通り抜けに難儀するガード下を、人や自転車、さらにはバイクがひっきりなしに通ります。そして自転車やバイクに乗った人は、頭をぶつけないよう、ハンドルに覆い被さるような姿勢でこのガード下を器用にくぐり抜けていくのです。

 こうした少なくない交通量の背景には、北方貨物線がこのガードの西側でデルタ線となることが挙げられます。つまりデルタの二辺もしくは三辺をスムーズに通り抜ける導線がないため、多くの利用者がこのガード下を選ぶというわけです

ただ、このように「歩いていても頭をぶつけるおそれがある道」が、自転車やバイクの安全な通行に適しているとは言えません。そのためか、ガードの手前には南側、北側とも「車両通行止」の標識が「踏切道」という補助標識とともに立てられています。

 しかし、法律的には踏切道は鉄道と道路との平面交差、いわゆる踏切を指していることから、この標識の規制対象はガードの北側に続く踏切を指しているとも考えられます。杓子定規に解釈すると「ガード下はOKだが踏切はNG」という微妙な内容です。

 いずれにせよ、自転車(軽車両)、バイク(原動機付自転車または二輪車)とも、「ガード下から踏切まで、もしくはその逆方向の通り抜け」は違法ということになるでしょう。ただ現地の様子を観察するに、その規制はまったく守られていないというのが現状ではないでしょうか。

見上げると車輪が!? 低すぎるガード下をくぐってみた

では実際にガード下に入ってみましょう。ガード、つまり田川第2開きょのガーター橋は年季の入ったもので、銘板には「昭和五年」「鐵道省」の文字も見られます。

そしてこのガード下での体験の真骨頂が、北方貨物線を通過していくさまざまな列車を、「ありえない角度」で観察できることです。上り線と下り線との間には、幅40cmほどの隙間が空いていて、上を見上げるだけで、文字通り「頭の横を鉄輪が駆けぬけていくさま」を味わうことができます。旅客列車、貨物列車含め、運行本数も少なくありません。鉄道好きなら、ガード下のあらゆる角度から行き交う列車を眺めるだけでも、満足できる時間が過ごせるのでしょう。

 さて、この田川第2開きょへのアクセスは、JR神戸線(東海道本線)の塚本駅、もしくは阪急神戸線/京都線/宝塚線の十三駅が最寄りとなります。塚本駅からは、東口を出てほぼ真北に徒歩15分ほど、十三駅からは西口を出て府道41号を北西に進み、山陽新幹線、北方貨物線を越える陸橋の手前で側道に入り、北方貨物線に当たったら線路沿いに西へ進めば、20分ほどで到着できるでしょう。

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