
鉄道を利用していて運転見合わせに遭遇したことがある人も多いことでしょう。振替輸送を使うのか、運転再開を待つのか、判断に迷います。もちろん事故の規模にもよりますが、その見極めに必要な事項をまとめてみます。
最低でも1時間は動かないと見積もった方がよい
列車に乗っていたり、駅で列車を待っていたりする時、事故で運転見合わせとなったという経験をしたことがあるでしょう。現場では駅係員や乗務員、警察、消防などが、負傷者の救護を第一に対応に当たっています。その間は列車の運行を停めることになり、長時間の運転見合わせとなるのです。
首都圏や関西など都市部の鉄道であれば、事故発生から運転再開までにおおむね1時間程度を要していますが、場合によってはそれよりも短時間で運転再開したり、逆に2時間近くかかったりすることもあります。
利用者の立場からは、振替輸送を利用するか、運転再開まで待つか、それとも用事をキャンセルして列車に乗るのをやめるか、という選択があります。ここでは、振替輸送などを使って迂回をするか、運転再開まで待つか、どちらがベストなのか考えてみましょう。
とにかく情報を集める
いつ、どこで事故が発生したのかといった情報を集めておくと、良い判断材料になります。事故が発生してから経過した時間によっても、選択肢が変わってきます。
JRは路線全体の運転を見合わせる傾向がありますが、地下鉄や私鉄では事故が発生した周辺だけ運転を見合わせて、その後部分的に運転を再開する傾向にあります。事故が発生した駅や場所が目的地と逆方向だったり、かなり遠い場所だったりした場合、少し待ってみたら運転を再開した、ということもあり得るのです。
運転再開まで待った方がよい場合とは
近年は大手の鉄道会社では、スマートフォン用のアプリが用意されており、そこで運行情報の詳細を知ることができます。アプリによっては列車の位置が表示される機能もあり、「運転を再開しているけれど、次の電車はどこにいる?」といった情報を得ることもできます。
また、改札口に運行情報を表示するモニターを備えている駅も増えましたが、運転取り止めや遅延などといった情報をそこに表示することも多くなっているので、改札口を通る前に確認するとよいかもしれません。
スマートフォンを使えば乗換検索もでき、迂回ルートの検索が簡単になりました。検索結果から、目的地への所要時間が瞬時に判明しますが、迂回する分、余計に時間がかかることも懸念されるでしょう。
・ほかの路線が周辺になく、迂回する手段がない
・迂回ルートが遠回りで、所要時間が極端に増える(1時間以上)
・すでに事故発生から1時間近くが経過している
こうした場合は、振替輸送や迂回ルートを利用せず、運転再開を待った方がよいかもしれません。
このほか、複数の路線が並行している場合も、「少し待ってみる」がベストな選択になることがあります。例えば、JR山手線と京浜東北線は品川~東京~田端間で並行しています。この区間で事故が発生した場合は、事故に影響しない線路を相互に使って短時間で運転を再開することができます。
山手線と京浜東北線ほどではありませんが、中央線と総武線、東海道線と横須賀線でも並行している区間があるので、短時間でどちらかの路線が運転再開となる場合もあります。
むしろ振替輸送などで迂回した方がよい場合
一方で、迂回したほうがよい場合もあります。
・事故が発生したばかりで、発生場所がルートの途上にある
・迂回しても、所要時間が極端に長くならない
・設備の故障など、当分復旧の見込みがない事態が発生している
このような場合は迂回がベストで、わざわざ運転を見合わせている路線にとどまってトラブルに巻き込まれることはありません。
乗車券や回数券、定期券など、区間や金額が記載されているきっぷを持っていれば、振替輸送を使って別の路線を利用することができます。ただし、区間の記載がないSuicaなどのIC乗車券や、乗り越している場合は振替輸送を受けることができず、その際は券売機で区間を指定したきっぷを発券することで振替輸送の対象となります。
なお迂回する場合も、振替輸送を利用できる範囲が限られていますが、おおむね近隣の路線のほか、バス路線も利用できる場合があります。振替輸送は事前に鉄道やバスの会社間で取り決めがあり、ある程度はパターン化されています。その範囲を公開している路線もあり、一例として東京メトロでは、ホームページで公開されています。普段利用をする路線がどのような振替輸送を行うのか、確認してみるのもよいかもしれません。
ただし、あと1駅で足止めされた時など目的地が近い場合は、歩いてしまうのも1つの手です。これは都心部の地下鉄で運転見合わせとなった場合などに有効な手立てになります。
人身事故や踏切事故のほかにも、車両や設備の故障、沿線火災など様々なトラブルで列車の運行が止まることがあり、その件数は年々増えているといわれています。大規模なトラブルほど列車の運休は長時間に及ぶため、その際は運転再開を待たずに迂回したほうがベストです。地図なども含め、利用者が情報へ容易にアクセスできる時代ですから、いざという時の代替手段をあらかじめ調べておくと冷静に対処できるでしょう。