
首都高速道路は寺山 徹社長の定例会見を開催し、「ETC専用化」の道筋について説明しました。あと3年ほどで、首都高は基本的にETCでしか利用できなくなります。
あと1年で55か所 3年で「ほぼ全部」
首都高速道路は2025年1月24日、寺山 徹社長の定例会見を開催し、「ETC専用化」の道筋について説明しました。
国土交通省は高速道路のETC利用率の高まりを踏まえ、料金所のETC専用化を進めています。首都高においては2022年度に一挙35か所のETC専用化が進みましたが、それ以降、半導体不足の影響などで停滞していました。
そして今回、半導体の供給も見込みがついたということで、2025年度には新たに55か所もの入口をETC専用とし、計90か所にするといいます。
その後、2028年春までに、本線料金所などの一部を除き、入口料金所のETC専用化を目指すといいます。
寺山社長は以前「街路とつながる入口は基本的に全てETC専用化する」と話していました。現金車はNEXCOの高速道路などからの通過利用はできるものの、首都高のみの利用は、あと3年ほどで基本的に不可能になるとみてよいでしょう。
もうすぐ「新型料金所」も登場!?
そして今回、ETC専用化を踏まえた「新しい料金所」のイメージも公表されました。従来のような有人ブースなども無くしたシンプルな構造で、運用は無人化。誤進入対応を行う「サポート」レーンはあるものの、インターホンでの対応となります。
「2025年5月下旬から、対象となる入口を通行止めしたうえで、新たな料金所にリニューアルしてETC専用化します」と寺山社長。2025年度は1か月でだいたい5か所ずつ程度で置き換えていくそうです。
首都高の料金所は全線合計で179か所あります。寺山社長によると「料金所ごとに工事の難しさはあり、2026年度以降は、より難しいところがETC専用化されていきます」とのこと。向こう3年で概成するスケジュールについては「一気に変わるという印象だろう」と話しました。
「ETC専用化」何がメリットなの?
首都高はETC専用化について、「ETC車と現金車の錯綜、停車・発進の繰り返しが削減され、安全性と快適性が向上される」ことなどをメリットとして挙げます。
さらにETC専用化は、渋滞緩和を目的とした「ロードプライシング」を導入するために、どうしても必要なことだと寺山社長は強調しました。
ロードプライシングは、通行料金を機動的に上げ下げするもので、すでに東京湾アクアラインで土休日の混雑時間帯の通行料金を上げ、閑散時間帯を下げて渋滞緩和につながる実験が行われています。
ETC専用化が進むことで、「空いている時間帯や経路の割引等の柔軟な料金設定により、お客さまの混雑区間でのご利用がスムーズになります」と首都高は説明しています。
今回、首都高は「快適走行ビジョン2040」という計画を新たに発表し、2040年までに現在の渋滞を半減させる目標を掲げています。ETC専用化やロードプライシングも、そうした渋滞緩和策の一つに位置付けられています。
ちなみに、無人運用となる新たな料金所は「ETCカードの挿し忘れ」などのうっかりミスにも対策しているそう。ETCレーンのアンテナを後方にも追加設置し、最初のアンテナ通過時のエラーに対応する仕組みを設けているといいます。