ワンオペ育児という言葉から抜け出すために

ワンオペ育児のつらさ
「ワンオペ育児」という言葉はここ数年で広く浸透しました。その背景には、共感する人がそれだけ多かったという事実があるでしょう。
単身赴任や共働き家庭のため、実質ひとりで家事・育児の大半をこなさざるをえない働く女性達の心の声が産んだ言葉です。
ワンオペ育児は、当然改善されるべき事態です。夫との話し合いを冷静に重ね、周囲に頼る方法も見つけ、自分だけで抱え込むことを少しずつでも辞めていかねばなりません。
しかし、病名が付くのと同じで、自分の状態に名前が付くことで確信が深まり視点が固定されてしまう危険があります。その結果、することなすこと全て「ワンオペ育児」という辛い言葉で包み込まれてしまっては前向きになるきっかけを見つけにくいですよね。
ワンオペ育児を改善していくことは外せない前提としても、「ちょっと違う視点を持つことができれば、辛い中にも素敵なことが発見できるかもしれませんよ」というご提案です。

そもそも子どもとは
ワンオペ育児の原因は何でしょうか?
「夫がもっと協力的だったら…」「私の要領が悪いのかな」「仕事を辞めれば楽になるのかな」などと考えてしまいますよね。
そして、もっと追い込まれると「子供がいるって何て不自由なんだろう」「子供がいなかったら楽なのに」などと一瞬でも思ってしまう事もあるのではないでしょうか。でも、そんな事を思うために大変な思いをして産んだわけではありませんよね。
そこで、そもそも子どもって何だろう?と原点に立ち返ってみると気持ちが変化するかもしれません。
今日まで、子育てを通して泣いたり笑ったり、時には不安になったり、それ以前には経験したことのない感情を味わってきました。すべてが自分を成長させてくれていることに気が付いていますか?親としてはもちろん、人として大きく成長出来ているのは子どもがいるからです。
そして、生まれたての何も出来ない時から「ただそこにいるだけで素晴らしい」ということを教えてもらいました。手のかかる大変な今でも、笑顔や寝顔がそれを証明してくれているのではないでしょうか。
一説では、子どもは生まれる前に自分のママを選んでくるという話もあります。
きれいごとで気を紛らわせる訳ではなく、どんな辛い毎日の中でも「きっと何か意味があって一緒にいるんだ」とか「やっぱり自分の子どもはかわいいな」と感じる瞬間があるはずです。そう思える”隙間”を作っておくことはとても大切だと思います。

今だからあるものは、やがてなくなるもの

次に提案したいのは、長い目で人生を眺めることです。
「ワンオペ育児」とは、子どもが何歳になるまで使える言葉なのでしょうか。
物事は必ず変化します。子育てをしていると大変な今が一生続くような錯覚を起こしますが、そうとも限りません。
そして“子ども時代”は当然のことながら一生続きません。今の大変さもやがてなくなって行くと同時に、「今の子どもの可愛さ」もやがてなくなってしまいます。祖父母達が口を揃えて言いませんか?「今だけよ」と。
例えば、かわいらしい声、純粋な好奇心、つるつるすべすべのお肌、何につけても「ママ!ママ!」と呼ばれること、背中にベッタリくっついてくること、どんなに叱っても「ママ大好き」と言われること、すべて「今だけ」です。
「ワンオペ育児」という言葉に自分をすっぽり入れてしまうと、今起きている奇跡のような出来事が大変さの影に隠されて見えなくなってしまいます。

子育期間に何を求める?

ワンオペ育児の大変さは人それぞれでも、少しでもハッピーな毎日を送りたいという気持ちは共通ですよね。しかし、何がハッピーと感じるかはこれまた人それぞれです。
 そこで、「自分は子育て期間に何を求めるか?」がはっきりすると、どんな努力(時には諦め)が必要で、そのためにどんな方法があるのか見えてきます。
「仕事(キャリア)」「夫婦の時間」「家族の時間」「子どもとの時間」「ひとりの時間」「友人との時間」「遊び」「勉強」「お金」「健康」「休息」など書き出し、優先順位を付けてみてください。
ワンオペ育児で大変だと感じる根底には、何が足りないという気持ちがあるのでしょうか?そして、ワンオペ育児が改善されたら、何を増やしたいですか?
さらに、それが今本当に必要なことなのか?今じゃなければ出来ないことって何だろう?というところまで考えてみましょう。
もちろん正確はひとりひとり違うはずです。だからこそ、自分は何を求めているかをはっきりさせることで、物事がとてもシンプルになります。
そして最後に、もしも、「ワンオペ育児をしている自分」に囚われていることで、本来見えてよいはずの子どもの可愛さが見えなくなっているとしたらどうでしょう?もったいないですよね。そんな時は、上で提案したように一度視点を変えてみましょう。その上で、改めて自分と向き合ってみることをおすすめします。

(文・亀山 美千代)

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