深夜0時半まで続いた作業 日本OPで倒れた大木は一夜で“完全撤去”

<日本オープン 2日目◇11日◇東京ゴルフ倶楽部(埼玉県)◇7251ヤード・パー70>

大会初日、17番パー3のグリーン左手前で倒れた大木が、一夜にして姿を消した。現場になった場所は、2日目になると大きな切り株が残されているのみ。前日、深夜まで続いた作業により選手、ギャラリーの安全が確保されていた。
倒れたのは、ゆうに10メートルは超えていた大木だ。前日、早朝に弱っていた根元から折れ、コースに横たわり、太い枝がバンカーに刺さっているような状況だった。倒れた場所は16番ホールと17番ホールの間で、管理道路もないため即時の撤去はできず、大会を主催する日本ゴルフ協会(JGA)も「対策を練っている」と頭を抱える状況だった。

ギャラリー通路にもなっていたその場所は、応急処置のため初日はロープを張り一帯を封鎖。『この先倒木につき立ち入り禁止』と書かれたボードをかけ対応していたが、それが翌朝には、ほぼ原状回復されていた。JGAの担当者は、開催コースの東京ゴルフ倶楽部のコース管理セクションともいえるグリーン委員会を中心に、すぐさま撤去策が講じられ、前夜に作業が行われた、と説明する。

作業開始は、第1ラウンドの全選手がホールアウトした後の午後6時頃。すでに暗闇に包まれたコースに専門業者を呼び、まずは17番ティから芝生を傷つけないよう地面に養生シートを張った。そこから小型ショベルカー、ダンプカーを配置。まずはチェーンソーを使って完全に木を倒すと、枝を落とし、幹の部分を細かくしてコース外へ運び出した。スタッフ14名による作業は、深夜0時30分過ぎまで続いたという。

あとは試合ができる状態かを、翌朝5時頃にコースに来たJGA職員が確認。「バンカーのヘリが崩れていないか」など心配ごとは多かったが、試合には問題ない状態まで回復していた。木が倒れた衝撃で地面には3カ所、大きな穴も開いていたが、それを土で埋め、そこだけを修理地とし第2ラウンドを開始することができた。

「当初は大会が終わるまでに撤去するのは難しいと考えていたけど、東京ゴルフ倶楽部の組織力、パワーを感じました。コースも私たちも日本オープンをしっかりしたフィールドでやりたいと願っていて、それを実現することができました」。JGA担当者はそう胸を張る。

前日までは修理地になっていた倒木付近のラフやバンカーも、この日は通常通りのプレーができ、ギャラリーもその周辺を往来するという“日常”を取り戻した。関係者たちの努力によって、日本一の男子ゴルファーを決めるフィールドの安全が確保された。(文・間宮輝憲)

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