まるで「空飛ぶアジフライ」…? 斬新な「2階建てプロペラ旅客機」ゆえの異形スタイル なぜ売れなかったのか

現代では円筒形の胴体が一般的な旅客機ですが、かつて、“アジの開き”のごとく、上下方向にやたら広がった長方形の箱のような形状の胴体を持つ機体がありました。なぜこのような形状になったのでしょうか。

フランス産「総2階建て旅客機」の元祖?

 現代の旅客機は、プロペラ機、ジェット機ともに胴体は円筒形であることが一般的です。ところがかつて、“アジの開き”のごとく、上下方向に広がった長方形の箱のような形状の胴体を持つ機体がありました。それが、フランス製の民間用プロペラ輸送機ブレゲー763「デュポン」です。

 ブレゲー763がそのような胴体形状を採用したのは、この機がフランス製の民間機として初となる、2階建ての客室をもつ「ダブルデッカー」機だったことが由来とされてます。また尾翼デザインも現代の旅客機と比較すると特徴的で、2つの垂直尾翼を水平尾翼両端に備えた「H型」のスタイルとなっています。 ブレゲー763は1949年に初飛行したブレゲー761をベースモデルとし、そこから、エンジンの換装や翼幅の変更などを行い、その2年後に初飛行しました。この機は1953年から1971年にかけてエールフランス航空でも運用され、「プロヴァンス」の愛称が与えられました。2階席に59人、1階席に48人搭乗できたとされています。 旅客機からの退役後は、一部がエールフランスの貨物機として、一部がフランス空軍に移管され輸送機として使用されたとのことです。 一方で、この機は20機にも満たずに製造が終了しています。これは、巡航速度も400km/hに満たないなか、ジェット旅客機「シュド・カラベル」を始めとする圧倒的にスピード優位な旅客機が出現し、担当路線(アルジェリア線やロンドン線)が奪われてしまったことなども理由とされています。 その一方で、フランス空軍からはその性能が高く評価され、同軍向け軍用輸送機タイプの派生型、Br.765「サハラ」も開発。軍民ともに、容積も大きく降着装置の安定性も優れていたことなどから、輸送機としては“いぶし銀”の活躍を見せました。

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