4月2日は世界自閉症啓発デー 元世界ランク1位アーニー・エルスの取り組みとは?

毎年4月2日は、国連が定めた「世界自閉症啓発デー」。全世界の人々に自閉症を理解してもらうための取り組みが各地で行われているが、ゴルフ界にも自閉症の子供たちのために行動している選手がいる。

身長190センチと大柄で、ゆったりとしたスイングは「世界で一番美しい」と賞賛される。穏やかな物腰も手伝ってアーニー・エルス(南アフリカ)につけられたニックネームは“ビッグ・イージー”。1989年にプロ転向してからメジャー4勝、世界中で70勝以上を挙げているエルス。54歳になった今も米シニアツアーで活躍している。

そんなエルスが実はゴルフ以外に心血を注いでいるものがある。2009年、米国フロリダ州ジュピターにオープンした“エルス・センター・オブ・エクセレンス”だ。26エーカー東京ドームの2倍以上という広大な敷地で3~14歳の自閉症の子供たちが100人以上学んでいる。そこには長らくエルスの長男、ベン君の姿もあった。

ベン君が生まれたのは02年、エルスがミュアフィールドでの「全英オープン」を制した年だった。長女のサマンサは当時3歳、エルスファミリーにとって最高の1年だったかもしれない。しかし、ベン君が2歳を過ぎたころから、“異変”に気づく。「言葉を覚えるのが遅く、行動も遅かった」というベン君はのちに自閉症と診断を受けた。

「しばらくは『いったいわれわれが何を悪いことをしたんだろう』と自分たちを責めた」ものの、ベン君と過ごすことが「アーニーを大きく変えた」とリゾ夫人は振り返る。「試合で戦って神経をすり減らしても、『ベンと一緒に過ごすこと』がアーニーにとって至福の時間。だからまたコースで戦うことができた」。

08年、エルス夫妻はベン君が自閉症であることを公表。欧州ツアーも戦っていた一家はロンドンを拠点としていたが、「ベン君がより良い環境で過ごせる」ようにフロリダ州へ移住。私財600万ドル(約9億円)を投じて自閉症の子供たちのための学校を設立した。一方で07年からエルスは“3年計画”で「打倒・タイガー」を掲げてツアーにも打ち込み、12年には「全英オープン」を再び制し、メジャー4勝目を挙げた。

「ここから育った子供たちが、地元のマーケットやゴルフコースで仕事に就いている。ベンはわれわれに神様が授けてくれた“贈り物”だと思っている。ゴルフも人生もこんなにも素晴らしい」とエルス。あの“ゆったり”とした姿はベン君の支えがあるに違いないだろう。(文・武川玲子=米国在住)

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