「北斗星」「トワイライト」はごく一部? 24系客車の豊かすぎる客室バラエティ まだまだ泊まれる・入れる!

国鉄24系は約15年間で500両あまりが製造された、日本で最多を誇る寝台特急用客車です。当初は3段式開放形B寝台で登場するも最後は超豪華寝台車「夢空間」で終わるという、多彩で華々しい系列でもあります。登場から半世紀。24系を振り返ります。

北陸トンネル火災事故を受けて登場

 寝台特急「北斗星」「トワイライトエクスプレス」などの活躍が印象深い24系客車は、1973(昭和48)年に登場しました。今年2023年で、50年が経過したわけです。  当時、日本国有鉄道(国鉄)は、特急用寝台客車として14系を製造していました。しかし1972(昭和47)年、北陸トンネル火災事故が発生したことを受けて、客車床下にあるディーゼル発電機を搭載した14系の製造は中断。新形式として、B寝台・A寝台・食堂車から成る24系を生み出したのです。

 それぞれのスペックは、B寝台が寝台幅70cmの3段式開放形、A寝台が下段の寝台幅93cm(資料によっては101cm)、上段88cmの開放形2段式、食堂車が2+2列と14系を踏襲しました。ところが、国鉄の寝台特急客は大幅に減少しつつあり、登場後わずか1年の1974(昭和49)年には、B寝台を3段式から2段式に変更した24系25形が登場しました。25形はB寝台の大幅なサービスアップが評価され、1975(昭和50)年に鉄道友の会からローレル賞を受賞しています。 前述したように、A寝台が開放形2段式なので、2段式となったB寝台は寝台幅が70cmとやや狭い以外は、ほぼ同等の設備となりました。このため、25形による寝台特急にはB寝台だけのモノクラス列車がそれなりに見られました。 しかし、東京駅を発着する東海道本線の寝台特急はA寝台の固定客が多く、廃止はできませんでした。そのため国鉄は1976(昭和51)年、個室A寝台車「オロネ25形」を登場させます。この車両は、当時の省力化を最優先させた設計方針が貫かれており、それまでの個室寝台車と違い、寝台を乗客が自分で整えるセルフサービス式でした。 部屋の横幅は1.1m程度、寝台幅は窓側の肘掛けを跳ねあげた状態で70cmとB寝台並み。側窓の横に座ると、洗面所兼テーブルの脚が邪魔で足の置き場がないといった設計の甘さで、「独房」と揶揄されることもありました。計12両が作られ、11・12はテーブル回りの設計が改められました。

どんどん豪華に プラチナチケット化した設備も

 それでも、20系個室寝台車が引退した1978(昭和53)年から、14系の改造でB個室寝台「カルテット」が生まれる1984(昭和59)年まで、オロネ25形は「唯一の個室寝台車」として国鉄で最も豪華な設備だったので、国鉄末期の余裕のなさを表している車両でもありました。 1980年代になると、看板であった24系寝台特急も乗車率が低下したため、国鉄はテコ入れすべく1985(昭和60)年から、24系の改造車を続々と投入します。「ロビーカー」(1985年)、4人用B個室寝台「カルテット」(1986年)、2人用B個室寝台「デュエット」、2人用A個室寝台「ツインデラックス」(1987年)などです。「デュエット」には国鉄として最初の共用シャワー室が設置されて話題を呼びました。同時に既存のA個室寝台車や食堂車、開放形B寝台車もグレードアップされます。 こうした豪華車両の好評を受け、1988(昭和63)年の青函トンネル開業時に設定された上野~札幌間の寝台特急「北斗星」には、さらなる豪華車両が改造で連結されました。大きな話題を呼んだのは、1人用A個室寝台「ロイヤル」です。寝台以外にソファとテーブルがあり、映画などが見られるテレビモニターのほか、シャワーやトイレまで備わりました。「ロイヤル」は「北斗星」廃止まで、プラチナチケットであり続けたのです。

 ちなみに「北斗星」には、489系電車の食堂車を改造した24系も連結されました。コース料理を提供する豪華食堂車「グランシャリオ」です。さらにB個室寝台にも1人用の「ソロ」が新たに登場し、「デュエット」「ツインデラックス」も連結されました。 翌1989(平成元)年には、大阪~札幌間の寝台特急「トワイライトエクスプレス」が運行を開始し、2人用A個室寝台「スイート」が登場します。「スイート」は編成端に連結されるため後方展望を楽しめたほか、大きなベッドや冷蔵庫、テレビモニター、ソファなどの設備で大好評を博し、中間車両型「スイート」も後に登場しています。 さらに、2人用のB個室寝台にも「デュエット」より広い「ツイン」や、1~2人用で使える「シングルツイン」、開放形B寝台に扉を設置し、個室化した「Bコンパート」も登場しました。

動かない…けど現役の24系は

 そして極めつけは「夢空間」でしょう。24系最後の新製車として、超豪華寝台車「デラックススリーパー」、ラウンジカー「クリスタルラウンジ・スプレモ」、展望食堂車「ダイニングカー」の3両で構成され、「北斗星」系統の臨時列車などで人気を集めました。特に「デラックススリーパー」は定員6名で、2人用A個室寝台「スーペリアツイン」2室と「エクセレントスイート」1室には風呂まで設けられました。 個室化の流れは止まらず、24系に限定しても寝台特急「はやぶさ」「富士」「あけぼの」「あさかぜ」「瀬戸」「なは」などに連結されていきます。特筆すべきは1990(平成2)年に「なは」に連結された「レガートシート」です。1+1+1列で、寝るためのリクライニングシートを装備した普通車指定席ですが、昼行特急グリーン車よりもはるかに快適な座席でした。 ちなみに改造つながりでは、1999(平成11)年にジョイフルトレイン「きのくにシーサイド」の展望車として、寝台車が大窓の展望車に改造されたこともあります。 しかし時代が下ると、こうした努力も乗客減少を食い止めるには至らず、2015(平成27)年の臨時寝台特急「北斗星」を最後に24系は特急運用から離脱。急行「はまなす」に連結されたB寝台車も翌年には廃車となり、定期運用を失いました。

 とはいえ24系は根強い人気があるため、各地で宿泊所やレストランとして活用されています。宿泊できるのは「北斗星スクエア」(北海道北斗市)、「ブルートレインあけぼの」(秋田県小坂町。現在修理中)、「ブルートレイン日本海」(岩手県岩泉町)、「北斗星ユメノバ」(茨城県筑西市)、「四国遍路の駅 オハネフの宿なは・瀬戸」(香川県観音寺市)5つです。 一方「レストラン」となっているのは「アタゴール」(東京都江東区)、「ピュアビレッジ東川口」(埼玉県川口市)、の2か所です。 登場から半世紀。24系の活躍は続いています。※一部修正しました(12/31 14:23)。

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