
有名量販店でも販売されている電動キックボードが、購入済みでナンバープレートを取得したものであっても、公道を走行すると違反になる可能性があることがわかりました。異例の事態にメーカーも対策をとっています。
特定小型原付の保安基準不適合が続々わかるなかで
公道を走るため原付ナンバープレートを取得したはずの電動キックボードが、いま公道を走行すると違反になってしまう――そんなことが起り得るようです。
国土交通省は2023年12月19日、「保安基準に適合した電動キックボード等を購入・使用しましょう!」と題した報道発表を実施。「インターネットにおいて販売されている車両を中心に保安基準適合性の調査を実施したところ、保安基準に適合しない車両が複数確認されました」として、ユーザーへ購入にあたっての注意を呼び掛けています。 電動キックボードなどの小型モビリティをめぐっては、2023年7月に「一般原付(50cc以下)」より下位の車種区分となる「特定小型原付」が創設。最高速度20km/h以下、普通自転車と同等のサイズといった条件の特定小型原付に該当するモデルは、16歳以上ならば運転免許なしで乗れるようになりました。メーカー各社は、特定小型原付モデルを続々と発表しています。 国土交通省は今回、市場調査の結果に基づき、この特定小型原付の保安基準に不適合となった車種を具体的に挙げて、不適合ポイントを解説しています。当該車種のメーカーは、新車の販売を停止したり、改善措置に乗り出したりしているとのこと。 これらの多くは、特定小型原付モデルとして打ち出され、保安基準不適合と判断されたモデルですが、なかには、特定小型原付の創設以前に「一般原付」モデルとして販売され、今回の不適合車にリストアップされたものもあるのです。 それについて国土交通省の担当者は、「対策をしない限り、原付ナンバープレートがついていても公道は走行できない状態」だと話します。一体どういうことなのでしょうか。 当該車種は、FUGU INNOVATIONS JAPAN(横浜市)の「MF-EKRA01S-BK」というモデルです。数々の有名量販店(ディスカウントストア、自転車店、家電など)で取り扱っている廉価モデルで、持っている人も少なくないと思われます。実際に購入した30代男性に、ナンバープレートがついていても公道を走れない可能性があることを伝えると、「え、そうなんですか」と目を丸くしました。
なぜこんなことに? 走れるようにする対策とは
FUGU INNOVATIONS JAPANによると、このモデルは一般原付として販売されたものの、最高速度は20km/h以下であるなど、「速度、サイズ、出力ともに、特定小型原付にあてはまるスペックだった」と話します。 同社も10月23日、ウェブサイトで一般原付区分の電動キックボードについて、7月の改正道路交通法施行に伴い特定小型原付に変更された、と発表しています。 他方、特定小型原付としては、制動灯や方向指示器、最高速度表示灯などがなく保安基準に不適合とされています。つまり、一般原付ナンバープレートを取得していても、違反状態になってしまったものがあるというわけです。 同社はこの対策として、ユーザーの求めに応じサイドミラーをやや大きい交換するとしています。これにより、車体の全幅が0.58mから0.63mに拡大され、特定小型原付のサイズの枠を越えて一般原付になる、といいます。ただし、無償での交換は2023年7月以降に購入したものに限り、それ以外は有償の対応になるとのこと。
国土交通省の担当者によると、今回は外部の情報提供窓口に「特定小型原付に当てはまるのではないか」という声が寄せられたことがきっかけになったといいます。国交省はさらに市場調査を進めており、今後、もしかしたら同様の機種が出るかもしれません。また、特定小型原付だけでなく、一般原付モデルについても調査する可能性もあると話しました。