
<ダンロップフェニックス 3日目◇18日◇フェニックスカントリークラブ(宮崎県)◇7042ヤード・パー71>
中島啓太がまたも“定位置”についた。3バーディ・2ボギーの「70」でプレーして、トータル7アンダー。首位と5打差の3位で、最終日最終組入りとなった。
最終日最終組入りはこれで今季8回目。1999年の日本ゴルフツアー機構(JGTO)創設後、2001年伊澤利光、09年石川遼に並ぶ、シーズン最多記録になった。初夏には5週連続でそれを経験し、2週前の「マイナビABCチャンピオンシップ」を含めて今季3勝を飾っている。首位のアマチュア・杉浦悠太(日大4年)との差は開いたが、「優勝争いを一番意識しながらプレーできる」という好位置には胸を張る。
突風に荒れたムービングデーは、5番でバーディを先行させたものの、残り85ヤードからグリーンに乗せられなかった8番、ティショットを右の林に打ち込んだ9番で連続ボギーを叩いた。「きょう一番ストレスを感じた」と振り返るが、そのフラストレーションは引きずらない。「気持ちも切れそうだったけれど、10番も難しいですし、つぎに切り替えてやろう」。後半は13番、16番でバーディを奪ってボギーはなし。一日を赤字にまとめて、最終日へと向かっていく。
00年生まれの23歳・中島に対して、杉浦は1つ年下。同時期にJGA(日本ゴルフ協会)ナショナルチームに在籍し、中島から杉浦に“エースの座”を任せたというような関係性でもある。「テンポが良くて、あまりズルズル崩れない」という安定感が後輩の印象。ちなみに、「(他の)後輩からは『(啓太)さん』と呼ばれるけど、彼(杉浦)だけは『くん』で呼んでくれる」と少しうれしそうに笑う。
そしてその後輩を、焦らずに、一歩ずつ追っていく。「取りこぼして、焦ってボギーを打つのが一番最悪で流れを悪くしていまう。1個、1個を積み重ねていければいい」と見据える最終日。「一緒にプレーするのは久しぶりですし、今週彼はすごく調子がいいと思うので楽しみ。でも、勝つつもりで頑張りたい」。現在、賞金ランキング1位を走る啓太“くん”は、逆転優勝に向けて力を込めた。(文・笠井あかり)