ドイツ「ユーロファイターの売却を当面許可しない」イギリスの航空機産業の雇用が危機に 原因はなに?

共同開発の辛いところ。

人権問題でドイツが難色

 イギリスでBAEシステムズが運営するユーロファイター「タイフーン」のプログラムに関わる職員約6000人の雇用が危機に瀕していると2023年10月31日、イギリスメディアが報じました。

 原因はドイツのオラフ・ショルツ首相がサウジアラビア向けに納入する予定だった、48機のユーロファイター「タイフーン」について「当面は許可しない」と2023年7月に発言したことが影響しています。ユーロファイター「タイフーン」はイギリス、ドイツ、イタリア、スペインで共同開発された戦闘機であるため、イギリス以外の承認も必要です。 サウジアラビアは、2018年にイギリスのBAEシステムズから追加で48機「タイフーン」を購入し、老朽化した「トーネード」と転換する予定でした。しかし、同国が2015年からイエメンのハーディー政権に協力しイエメン紛争に介入していることや、2018年10月にジャーナリストのジャマル・カショギさんが殺害されたとされる事件などが発生したことを理由に、重大な人権問題があるとしてドイツが、サウジアラビアへの売却を難色を示し、中断した状態になっています。 イギリス空軍はユーロファイター「タイフーン」を2025年から段階的に退役させていくと発表しており、BAEとしては、今後は輸出向けに生産ラインを開く予定でした。しかし、サウジアラビア関連の問題長期化により、生産ラインの維持には他の国からの契約を期待する必要性も出てきました。 なお、正式にドイツが拒否した場合はラインの維持には高額なコストがかかるため、ラインの閉鎖もBEAは検討しており、その場合、6000人を超える航空機エンジニアに影響が出る可能性があるとのことです。たとえ保留のままでも、同機の代わりにフランスが自国の「ラファール」をアピールする可能性も噂されています。※一部修正しました(11月9日12時27分)。

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