高速道路の深夜割引「無謀な運転の抑止策」を発表 スピード違反で距離稼いでも無駄に!? 見直し案さらに複雑化

ここまで複雑になるとは……?

深夜割引の見直しで無謀な運転が増える? じゃあ、料金調整しましょ

 NEXCO3社(東日本、中日本、西日本)は2023年11月7日(火)、高速道路の深夜割引の見直しに関して、「無謀な運転の抑止策(案)」を公表し、国民からの意見募集を開始しました。かねて深夜割引の見直し案が提示されていましたが、それがさらに“複雑化”しそうです。

 高速道路の深夜割引をめぐっては、割引開始の深夜0時になるのを待って料金所前で滞留するクルマなどもあることから、労働環境の悪化につながっているとして、今年1月に見直し案が発表されたところです。 見直しの骨子は、深夜割引の対象を0時~4時から22時~翌5時へ拡大する一方、その時間帯に走行したETC車の料金を一律3割引きにするのではなく、“深夜に走った分だけ割り引く”制度への変更です。加えて、長距離利用者の負担軽減措置として、400km以上を走行した場合の割引率を、走行距離に応じて最大50%まで拡充します。 ただ、これにはむしろ、「深夜の走行を助長するのでは」との指摘もあります。NEXCO東日本の由木文彦社長も1月の会見で、「適用時間内に距離を稼ぐため、速く走ろうとすることが危惧され、何らか上限を講じる必要がある」と発言していました。 その“上限”が、今回の「無謀な運転の抑止策(案)」というわけです。

「スピード違反させないぞ料金」?

「無謀な運転の抑止策(案)」を加味することで、深夜割引は従来の見直し案に加えて、適用条件がさらに複雑化される見込みです。NEXCO東日本に話を聞いた内容を加えて説明します。●1時間あたりの割引対象距離に「上限」 割引対象距離は、割引適用時間における利用時間1時間あたり普通車等で100km、大型・特大車で80kmが上限とされます(メーター誤差を加味して実際には105km、85km上限)。これは、それぞれの車種の最高速度、すなわち100km/h、80km/hを考慮しており、普通車であれば仮に1時間で120km走った場合、20km分は割引が適用されなくなります。 なお、新東名など一部区間では普通車等の最高速度が100km/h以上のところがありますが、まだそれほど区間が多くないこともあり、全国一律で100kmに合わせているそうです。●割引時間帯に4時間以上走ったら、自動的に「30分間分」割引適用外 割引適用時間帯において利用時間が4時間を超える場合、それぞれの車種の利用時間30分に相当する上限距離を減じます。これは、厚生労働所が定めるドライバーの労働時間の基準で、4時間以上運転した場合は30分の休憩をとるというルールを考慮したもの。 割引時間帯は最長7時間ですが、そのうち30分間分は、自動的に割引対象外となるそうです。つまり、普通車は最大50km分、大型車は最大40km分に相当します。ただし、「減じた後の上限距離は利用時間4時間に相当する上限距離を下回らないものとする」とされています。

 NEXCO3社は、これら上限距離設定について「速度超過等の無謀な運転を容認するものではありません」と念を押しています。3社は意見聴取後、国土交通大臣あてに制度の申請をする予定です。

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