
AT車で駐車する際、シフトレバーを「P」レンジに入れて、パーキングブレーキをかけない人もいます。「P」レンジにすれば車輪は動かなくなりますが、パーキングブレーキは必要なのでしょうか。最近では自動でかかる車種もあります。
「P」レンジ単体でも動かなくなるが
AT車で駐車する際は、レバー式や足踏み式のパーキングブレーキをかけ、シフトレバーを「P」レンジに入れることが基本です。いまは電子式のパーキングブレーキがエンジンオフと同時に自動でかかるクルマも増えましたが、なかには、パーキングブレーキをかけないで駐車する人もいます。 「P」レンジ単体でも、クルマは車輪がロックされて動かないようになりますが、それだけでは不十分なのでしょうか。
ギアを「P」レンジにすると、トランスミッション内部の歯車に爪がかかり、シャフトがロックされるので駆動輪が動かなくなります。一方でパーキングブレーキは、ワイヤーを引っ張って後輪のみにブレーキをかけるもので、その制動効果は「P」レンジほど強いものではありません。 とある自動車教習所のインストラクターは、一般的な前輪駆動(FF)のクルマであれば、「P」レンジにいれただけでは後輪がロックされないので、パーキングブレーキをかけることで二重の安全を確保できるといいます。「たとえクルマに衝突されたとしても動き出しはゆるやかで、大きな被害を防ぐことができます」とのこと。 同氏によると、もちろん、「P」レンジのロックはかんたんには外れるわけではないそうですが、歯車と爪のあいだに隙間があるため、フットブレーキやパーキングブレーキをかけない状態では振動などでわずかに動くこともあるとのことで、狭い場所に駐車する場合など、数cmでも動くと困る場合には、パーキングブレーキをかけたほうがよいといいます。
「パーキングブレーキかけないで」が一因?
では、なぜパーキングブレーキをかけない、という選択をする人がいるのでしょうか。同氏によると、「寒冷地では、冬季にパーキングブレーキをかけると凍結して戻せなくなることがあります。このため、冬季でなくても、パーキングブレーキをかける習慣そのものがないという人もいます」とのこと。 実際に寒冷地では、パーキングブレーキをかけない傾向があるのでしょうか。 北海道指定自動車教習所の団体に聞くと、北海道の教習所で使われている教本でも、「冬道ではサイドブレーキを引くと、凍結して動かなくなることがあります」と書かれているそう。「夏もその延長線上でかけない人が多いでしょう」といいます。 しかしながら、前出の通り現在ではエンジンオフと同時に自動で電動パーキングブレーキがかかる車種もあります。駐車時にパーキングブレーキをかけていないクルマそのものが、だんだん減っていると考えられます。しかし、国産車の説明書では、寒冷地では電動パーキングブレーキも凍結の可能性があるので、パーキングブレーキをかけずに、輪留めをしてほしいと書いてあるものがあります。一方で、輸入車ではそのような記載はあまり見られません。電動パーキングブレーキにも複数の方式があるので、本格的な冬の到来前に説明書を改めて確認するのもよいかもしれません。