日本のQTランク1212位から欧州ツアー制覇まで 21歳・久常涼の出世街道を振り返る

<カズー・フランスオープン 最終日◇24日◇ル・ゴルフ・ナショナル(フランス)◇7247ヤード・パー71>
 
1983年の「パナソニック・ヨーロピアン・オープン」(イングランド)を制した青木功以来、40年ぶりにヨーロッパ大陸で優勝した日本人選手となった21歳の久常涼。高校を卒業してプロ入りからわずか3年での快挙となった。そんな久常の出世街道を振り返ってみよう。
岡山県出身。3歳からゴルフを始め、中学3年で出場した2017年「日本ジュニア(12〜14歳の部)」で2位に7打差をつけて圧勝した。高校は渋野日向子や尾関彩美悠らを輩出した岡山県の作陽高に進学。1年時の18年に「全国高等学校ゴルフ選手権」を制している。
 
同年には、国内男子ツアーの「KBCオーガスタ」でも11位入ってローアマを獲得。その後、金谷拓実、中島啓太、桂川有人らとともに19年のJGAナショナルチーム入りを果たした。
 
高校3年時の20年に、国内男子ツアーの21年シーズンの出場権を目指してQTに挑むが、1次で敗退。出場優先順位は1212位と下部のABEMAツアー出場も難しい位置で21年のルーキーシーズンをスタートし、主催者推薦で出場したABEMAツアー「太平洋クラブチャレンジトーナメント」で3位タイに入ったのをきっかけに、同ツアーで3勝を挙げた。
 
『ABEMAツアーで年間3勝した者は、その年の残りのレギュラーツアーの出場権を得る』。07年に制定されたツアー規定の適用第一号となって、9月の「バンテリン東海クラシック」からレギュラーツアーに昇格。出場した7試合すべてで予選通過し、トップ10に2回入るなど快進撃を続け、同じ年にレギュラーツアーの賞金シードまで獲得してしまった。ちなみに、ABEMAツアーでは史上初となる獲得賞金1000万円を突破し賞金王に輝いている。
 
シード選手として臨んだ22年シーズンは、目標としていた石川遼、ハン・ジュンゴン(韓国)、松山英樹に続く、史上4人目の10代でのツアー優勝にこそ届かなかったが、17試合に出場してトップ10に6度入り、賞金ランキング24位でシードを守った。また、この年は、アジアンツアーや欧州ツアーなど海外の試合にも積極的に参戦。8月のアジアンツアー「インターナショナルシリーズ・シンガポール」では7位タイに入っている。
 
同年の10月には日本開催の米国男子ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」で中島啓太と並ぶ日本勢最高位の12位タイ。最終ホールのボギーで、2週後の「バターフィールド・バミューダ選手権」の出場資格を得られるトップ10入りを逃して悔し涙を流した。
 
翌11月には6日間の欧州ツアーのQスクールファイナルステージ(最終予選会)で7位タイに入り、23年シーズンのツアー出場権を獲得。その開幕戦となった22年の「フォーティネット・オーストラリアPGA選手権」では、いきなり2位タイに入って、優勝の匂いを漂わせる。3月の「マジカル・ケニアオープン」でも3位タイでフィニッシュ。そして21歳の誕生日を迎えた今月、青木功、松山英樹に次ぐ、日本勢3人目の欧州ツアー優勝の快挙を達成した。
 
すでにツアーカードを保持している者を除く、ポイントレース上位10人が来季の米PGAツアーへの切符を得る。久常は今回の優勝で現在その7番手に入り、来季は松山英樹のいる世界最高峰の舞台で戦っている可能性が高い。「来シーズンはアメリカでプレーしたい」。久常の出世街道はまだまだ続く。

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