“考えるドア”搭載!? JR東海の最新通勤車315系のスゴイ点 “進化した弱冷房車”とは

近年、JR各社を中心とする鉄道会社は、通勤形車両の改良を進めています。ここ数年で登場した新型車両は、それまでは見られなかった設備や性能も。JR東海の最新型315系は、エアコンが進化しています。

Aiが制御する冷房装置!?

 通勤形電車といえば、ロングシートの座席とつり革以外はほとんど設備もなく、殺風景な車両というイメージがありましたが、近年はサービス改善の動きが顕著です。フリーWi-Fiや空気清浄器が装備されたり、地下鉄直通車両でトイレが設置されたりもしています。 そうした最新の通勤形電車はJRでも取り入れられています。今回はJR東海で2022年に営業運転を開始した「315系」を取り上げます。

 315系は、国鉄の分割民営化前後に導入された211系、213系、311系の置き換え用として導入された車両です。それまでの211系などは「近郊形電車」とされていましたか、315系は同じ用途ながら「通勤形電車」に分類されています。しかしながら3扉ロングシートで、座席数がやや多めです。 デザインコンセプトは「優しく安心感のある快適な移動空間」であり、JR東海の普通列車用車両としては初めて、側扉上に液晶ディスプレイを設置しました。防犯カメラは1車両に5か所設置され、非常警報装置も1車両に3か所設置されています。 また、国内の鉄道車両としては初めて、空調装置にAIが搭載されています。これは、乗務員による空調の手動補正をAIが自動学習し、温度・湿度・乗車率を考慮した最適な空調制御を行うというシステムです。冷房能力自体も211系と比較して3割強化されているとのこと。筆者(安藤昌季:乗りものライター)は、真夏に乗車しましたが、ちょうどよい空調の効き方でした。ちなみに、同社初となる弱冷房車も合わせて導入されています。

将来的には東海道本線などにも投入

 接客設備としては、電気駆動式ドアシステムも特徴です。これは側扉に荷物などが挟まった際、それをドア自身が開閉速度から把握し、自動的に戸閉力を弱めるというもの。対象が乗客だった場合でも安心です。 台車には日本車輛製造オリジナルの「NS台車」を採用。この台車は高い曲線通過性能と走行安定性、乗り心地性能を備えています。振動感知装置も備えており、台車の異常をモニタリングして車両基地にデータを送ることで、安全性を高めています。 また、N700S新幹線にも搭載されている非常走行用蓄電装置も搭載されており、停電時でも最寄駅まで自力走行が可能です。

 側窓には赤外線と紫外線を99%カットする複層UVカットガラスが採用され、代わりにカーテンが省略されています。扉間中央と、車端部の側窓は開閉可能です。 座席はロングシートですが、座面が深く、ゆったりとした座り心地です。1人あたりの幅も211系より1cm広い46cm。近年の鉄道車両としてはクッションも柔らか目で、感触はよいです。座席の袖仕切りや荷物棚はJR東海らしい、質実剛健なデザインです。なお、つり革は高さを変えて、乗客の身長差に対応しています。 また、車いす対応トイレも設置されており、比較的乗車時間が長い運用も想定されています。 315系は8両編成の0番台と、4両編成の3000番台があります。0番台は中央本線や愛知環状鉄道で、3000番台は関西本線で運行されています。315系は352両が製造される予定で、将来的には東海道本線、中央本線、関西本線の普通列車が同系列に置き換えられるようです。 新快速・特別快速仕様の315系が登場するかどうかは、まだわかりませんが、今後の発展が楽しみな系列といえます。

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