
<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 事前情報◇14日◇新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県)◇6534ヤード・パー72>
長崎でのメジャー大会を終えて、今週の女子ツアーは唯一の愛知戦。昨年は当時19歳でルーキーだった尾関彩美悠が制したが、今年の行方はどうなるか? 青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏がその展望を占う。
■刻む勇気が結果を大きく左右します
全体的にフラットだが、ホールは林によってセパレートされている丘陵コース。グリーンの周りも木々に囲まれており、「タイトなコースですね」と、視覚的な圧迫感が選手に緊張感を与えている。OBラインも浅く、「突き抜けてOBとか、両サイドのOBとか、結構トラブルが多くなりそうです」と、小さなミスが大きなスコアロスにつながることも。無理せずに、コツコツと攻めていくことが大事になりそうだ。
例えば、上がりホールの17番、18番はティショットに池が絡み、逆にアウトコースの出だしは左右のOBや崖が気になるところ。「刻む勇気が必要ですね。風も考慮した時に、ぜんぶ“おらっ!”とドライバーを振っていくばかりでは良くない。曲がり幅を抑えられるクラブで、フェアウェイをキープすることが優先されると思います」。
さらに、知多半島の海沿いに位置することもあり、「風が吹くときはかなり吹きますし、さらに横からの風になります」という対応も必須。練習日は比較的穏やかだったが、週末にかけてどのように変化していくか。風をきちんと読み、チャンスにつけることもポイントのひとつになる。
グリーンは比較的「柔らかい」が、やはりラフからだと止まりづらいため、フェアウェイから打っていくことがチャンスにつなげるための第一条件。さらに、フェアウェイに置ければ、バーディチャンスへの道はより広がってくる。「左右のラフに入ると、グリーンのガードバンカーが気になる場面も多いです。フェアウェイをキープすることで、花道が開けてきます」。ティショットをどこに置けるかで狙い方も大きく変わっていきそうだ。
■小さな巨人の出番です
総距離が長くないため、2打目以降に長い番手を持たされることもあまり多くはなさそう。歴代覇者は、決して飛ばし自慢ばかりではないのも見どころのひとつ。ともすれば、飛ばなくても曲がらない“小さな巨人”を注目選手として挙げる。
2021年大会覇者でホステスプロの西村優菜と、20年覇者の古江彩佳の米ツアーコンビは、スポット参戦となりながらも、やはり上位争いに加わりそう。「様子を見ても曲がっていませんでしたし、風への対応力も強いです。勝っているのもイメージがいいと思います。西村選手はホステスプロとしても、思い入れのある大会でより気合いが入っていると思います」。コースとの好相性はお墨付き。米国で培った技術にも注目していきたいところ。
そして、安定感あふれる女王・山下美夢有にも注目する。「最後に決め切るパターの転がりもとてもよく見えます。安定感がある。そのひと言ですね」。今季すでに4勝を誇り、トップ10入りは14回と絶好調。今週も上位争いに加わることは、間違いなさそうだ。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。