めっちゃ速い…のか? ボーイングが開発を試みた「異形の新型旅客機」とは 既存の概念覆すルックス

アメリカの航空機メーカー、ボーイングではかつて、革新的なコンセプトを持つ旅客機の開発を進めていたことがあります。そのユニークな見た目、そしてその強みはどのようなものだったのでしょうか。

既存機より「ちょっと高く」&「ちょっと速く飛ぶ」がコンセプト

 アメリカの航空機メーカー、ボーイングが2001年ごろから、革新的なコンセプトを持つ旅客機の開発を進めていたことがあります。既存機とはまったく設計が異なり、かつ飛ぶ速度帯が、現代の旅客機よりは速いものの、「コンコルド」のような超音速旅客機よりは遅い、というコンセプトをもつ機体です。

 ボーイングの「ソニッククルーザー」は、250席前後の客席を配し、ボーイングの「767」の後継モデルとなるキャパシティをもつモデルとされてきました。 しかし、巡航速度は、これまでの旅客機がマッハ0.8だったのに対し、「ソニッククルーザー」がマッハ0.9に。巡航高度も3万~4万フィート(約9150mから1万2120km)だったのに対し、4万フィート以上といったように、「従来機より少し速く、少し高いところを飛ぶ」方向性をもったスペックが打ち出されています。また、航続距離も約1万6700kmの長さをもちます。 最終設計案で全長は約61mとされましたが、機体の設計は、現代の旅客機のスタンダードとはかけ離れたものでした。翼は「コンコルド」のような三角翼を搭載し、胴体前部には小さな「先翼」を搭載しています。その一方で、機首先端は超音速旅客機のような尖り方はしておらず、従来のジェット旅客機と親しいものとなっています。 この巡航速度を採用することで、同社は3000マイル(約5560km)飛行するごとに、従来機とくらべて約1時間短くフライトできるとしていました。 2002年にボーイングは「ソニッククルーザー」の最終設計を決定し、2008年の就航を目指し動き始めますが、時期が革新的な新型機を出すのには悪すぎたといえるでしょう。 2001年に発生した同時多発テロの影響で、航空業界の需要が低迷するなか、巡航スピード以外は先が読めない「ソニッククルーザー」は、顧客である航空会社の支持を集めることができずに開発中止となりました。ちなみに、この代替となる新型旅客機計画としてボーイングが発表したのが、のちの「787」となるモデルです。

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