「効き」と「持ち」を両立! トーヨータイヤから新登場したトラック・バス用スタッドレスタイヤ「M939」を雪上試乗。その性能と進化した実力をチェック!

トーヨータイヤは、トラック・バス用スタッドレスタイヤ「M939」を、2023年8月1日に国内市場で発売しました。発売に先立ち、同社は2023年2月に北海道で雪上試乗会を開催。効きと持ちの両立を実現した「M939」の性能をリポートします。

気候変動問題にも対応する、「効き」と「持ち」を両立したスタッドレスタイヤ

 軽乗用車から大型車まで豊富なラインアップを誇り、多くのユーザーに愛されているTOYO TIRES(トーヨータイヤ)。中でも、2013年に発売されたトラック・バス用スタッドレスタイヤ「M929」は、10年にわたって販売が続いたロングセラーモデルです。 そして2023年8月1日、その後継モデルとなる「M939」が発売されました。「M939」の開発コンセプトは、ズバリ「効き」と「持ち」の両立です。

 国土交通省による調査では、近年の気候変動傾向として1日で降る降雪量の増加傾向が見られるそうです。しかも、路面が凍結することもしばしばあるため、日本の物流や交通網を支えるトラック・バス用タイヤにおいても、氷雪上性能を向上させた「効くタイヤ」の重要性が増しています。  その一方で、ひと冬の累計降雪量は減少傾向にあるといいます。これは、積雪のないアスファルト路面の走行が多くなり、タイヤの摩耗が増えることを意味します。そのため、タイヤの耐摩耗性を向上させた「持つタイヤ」も必要となっています。

2024年問題への対応も視野に

 また、運輸・運送業界では、2024年問題やドライバーの高齢化・人材確保など、慢性的な労働力不足への対応にも迫られています。そうした状況を踏まえると、タイヤ交換の頻度が少なくて済むことは、タイヤメンテナンスにかかる時間・費用・人員の削減につながります。この「低メンテナンス性」も、次世代のスタッドレスタイヤでは必須のポイントといえるでしょう。

 そこでトーヨータイヤでは、「効き」と「持ち」を両立させ、さらに「低メンテナンス性」をコンセプトに置いた、次世代向けトラック・バス用スタッドレスタイヤ「M939」を開発。

新機軸を多数盛り込み誕生した「M939」

 従来モデルの「M929」も、発進力・制動力・旋回性能・耐摩耗性能・低メンテナンス性の各項目においてバランスが良いタイヤとして高い評価を受けていましたが、「M939」では、それらの面においてさらなる性能向上を目指しました。 まず「効き」の面では、タイヤのパターンデザインの工夫による氷雪上性能をアップしています。ブロック内に波型のサイプを高密度で配置することでエッジ要素を確保できる「高密度ウエーブサイプ」の採用により、タイヤ内のサイプの総延長を「M929」比で13%も増やすことに成功。アイス路面での高いエッジ効果を発揮します。

 さらに雪の目詰まりの抑止効果を確保するべく、幅広い主溝を持つ「ワイドメイングルーブ」が、スノー路面やシャーベット状の路面での性能確保に貢献します。 続く「持ち」に関しては、偏摩耗を抑制する「ワイドセンターブロック」、耐摩耗性能を向上させる「周方向連結ブロック」が効果をもたらします。前者は、特に接地圧力が高いセンターブロックの幅を「M929」より20%広げることでタイヤ接地幅方向の圧力を均一化。後者は、ブロックを大型化したうえ、周方向に連結させることで前後の剛性を「M929」と比べて36%も強くしています。ブロックが路面に接地した際に起こる動きを抑えることで、偏摩耗や耐摩耗性・低メンテナンス性を向上させました。 これらの新しい技術を投入したことで、同社テストにおいてアイス路面での制動性能を「M929」比で4%向上。耐摩耗性能でも推定摩耗ライフが7%向上、偏摩耗の発生については45%も低減したといいます。

思った通りに車両を動かせる「M939」の雪上性能

 このように新機軸が多数盛り込まれたトラック・バス用タイヤ「M939」は、まさにトーヨータイヤの自信作ともいえるニュータイヤです。そこで同社は、2023年2月に一足早く「M939」の雪上試乗会を実施しました。トラック・バス用タイヤの事前試乗会は同社でも初めてとのこと。「M939」にかける、トーヨータイヤの意気込みを感じました。 昼でも氷点下という北海道ルスツリゾート(留寿都村)のクローズド・テストコースに赴くと、そこには「M939」、従来モデルの「M929」を履いた4tクラスのトラック・日野レンジャーが用意されていました。

 車両総重量は約8t、最大積載量は約2.7tで、荷台にはおおむねその半分のデッドウエートを搭載しています。トランスミッションはMTです。比較のため、「M939」・「M929」装着車共にイコールコンディションに整えられていたのはいうまでもありません。 コース上にはパイロンが置かれており、発進後加速して急制動、再発進ののち8の字旋回を行い、性能を確認できるようになっていました。路面は圧雪状態で凍結はしていない、という状態です。 まずは従来モデルの「M929」を履くトラックに乗り込み、一通りのプログラムを終えてから「M939」の性能を試します。「M929」でも発進・急制動、旋回時には十分な性能を見せてくれましたが、「M939」では、発進時からタイヤが雪上路面に駆動力をしっかり伝えてくれている感覚がありました。 そのまま30km/hまで加速し、フルブレーキングをした際も、ブレーキを踏んだ瞬間にもググっとタイヤが雪を捉えるイメージで、滑っている感覚もなくトラックが停止しました。 再発進して左にステアリングを切り、8の字旋回に入ってアクセルをオンにすると、「M929」では後ろから押されるような感覚とともに、車体がわずかにコーナーの外側に流れてしまいます。それに対し、「M939」を履いたレンジャーは、前輪が外に膨らみにくく、後輪も路面にトラクションを有効にかけているため、思い通りのラインをトレースします。思ったとおりに車両が動きやすくなっているため、ひとことで言えば「こわくない」のです。

積雪が多いエリアでも疲れにくく

 この「こわくない」ことは、疲れにくさにつながります。積雪が多いエリアでは、ずっと氷雪路を走り続けないとならない場合もありますが、そのとき、どんな場面でも自分の手足のように車両が動き、コーナーで気を遣う回数が減れば、ドライバーの疲労は確実に減っていきます。道幅に対して占める幅の割合が大きなトラックでは、思った以上に繊細な運転が要求されますので、コントローラブルなスタッドレスタイヤ「M939」なら、ドライバーが疲れにくいという効果も発揮されるのではないでしょうか。

 現地に来ていたトーヨータイヤのスタッフは、「こわくない」という感覚は重要なファクターだったといいます。それを実現するために、「M939」開発の際には試作と試走・微調整の繰り返しだったそうです。その苦心と努力は、確かに製品に結実しているように感じました。 変動する時代に合わせたアップデートを行い、高い雪上性能と耐摩耗性を高次元でバランスよく備えた「M939」。中型・大型トラック用に17.5、19.5、22.5インチ径を展開し、全13サイズが用意されます。雪道走行が多いエリアはもちろんのこと、雪が多くないエリアのユーザーにも強くオススメしたいタイヤです。

externallink関連リンク

スタッドレスタイヤ何年使える? 3~4年多いが経年数だけでは難しい判断 交換目安は 立体駐車場の床、なぜタイヤがキュルキュルいうのか 低速でも鳴ってしまうワケ 毎日8km走行と週末100km走行 クルマの負担・消耗が少ないのは? 短距離多い人は要注意
externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)