今後の高速道路は「車線を狭くする」 そして「鉄道みたいなイメージ」に 一体どういうことなのか?

将来の高速道路は「車線が狭くなる」という構想をNEXCO東日本が打ち出しています。さらには、高速道路が「鉄道のようなイメージ」になるとも。どういうことなのでしょうか。その構想を紐解くと、かなり「鉄道っぽい」将来像が見えてきました。

高速道路は「電車の線路」みたいに?

 将来の高速道路は、車線が狭くなる――こうした構想をNEXCO東日本が発表しています。どういうことなのでしょうか。

 このことは同社が2021年、次世代の高速道路を目指すための“打ち手”として、108の項目を紹介したなかで発表しています。ある幹部は「将来的には道路が電車(の線路)みたいなイメージになると考えている」と話しました。 これは、本格的な自動運転社会を想定したものだそうです。 高速道路を走るクルマの多くが自動運転となれば、車線に沿って、前車に追従しながら走ることになります。また、自動運転専用レーンや、走りながらEVの充電できるレーンなどを設けるといった構想もあります。そうなると、人間のドライバーを想定した道路空間の“遊び”は必要なくなり、むしろ車両が道路と車両と相互にデータ連携しながら走るインフラが重要になる――というわけです。 前出の発表資料では、自動運転前提の道路・車線構造として、「車線幅員の狭小化」さらには「軌道型道路」と明記しています。「自動運転車両が走るライン(軌道)の舗装や道路構造を強化し、効率的な保守を実現する」とあり、まさに車線が軌道(線路)と捉えられています。 そのうえで、「車線幅員の狭小化等で生まれるスペースを活用し、交通量の多い区間では多車線化を図る」「自動運転車両専用のレーンやICを整備する」といった項目が打ち出されています。これにともない、従来の白線や照明設備、標識なども、自動運転の認識技術を前提とした設備に変えていく構えです。

想像以上に「鉄道っぽい」高速道路の未来

 そうしたインフラを用意するだけでなく、NEXCO東日本は車線別の「運行管理」も視野に入れています。 自動運転車両混入率の普及に合わせ、「規制速度の上限を現在よりも緩和し、車線別に走行車両(普通車、大型車)や速度を規定」「規制速度や車線運用状況は、センターから車両に高速通信にてリアルタイムに配信」――このあたりは、鉄道の運行管理と通じるところがあるでしょう。 さらには「個々の車両の走行軌跡、挙動を把握することで、走行車線・エリア別や車両が与える環境負荷に応じた課金を実現」するなど、“次世代の課金システム”として、「車線別料金」「自動運転料金」といったことも視野に入れている模様です。 もちろん、これらはまだまだ先の話です。しかし、新東名にトラックの隊列走行を想定した自動運転専用レーンを設けるという話もすでに政府内で持ち上がっているので、あながち遠くないのかもしれません。

 2023年現在のクルマはといえば、システムではなく、あくまでドライバーが主体となる“レベル2”までの自動運転技術が一般的。あらかじめ設定した速度で自動的に加減速を行い、前車に追従するACC(アダプティブクルーズコントロール)や、車線の逸脱を検知するとハンドル操作をアシストするLKAS(レーンキープアシストシステム)などは、レベル1の自動運転技術とされています。 高速道路でも、これらの機能を使い、アクセルペダルを踏むことなく走行している人も相当数いると考えられますが、こうした機能を過信した“ながら運転”と思われる前方不注意で、工事の規制帯に突っ込む事故も相次いでおり、道路管理者も注意喚起を行っています。自動運転技術が進展することで、このような事故も避けられるようになるかもしれません。

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